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日本料理 舞 (恵比寿)(2ページ目)

【2008年2月18日リニューアルOPEN!】技を尽くした逸品といい、隠す美と情緒に溢れた内装といい、日本初のミシュランガイドで星を獲得した鉄板焼「恵比寿」に続く、次なる星の期待充分です!

執筆者:河野 優美

鰹の一番ダシが、本日の食前酒がわり。

日本料理 舞
今回いただいたのは、昼夜から抜粋したリニューアルお披露目メニュー。なので通常のメニューとは少し違いますが、ここではどんなお料理が出されるのか、全体的な装いを感じるひとつの指標となります。

おもしろいと思ったのは、食前酒がわりに出てくるダシ汁。これは、この「日本料理 舞」で出るすべてのお料理のベースとなる、鰹の一番ダシです。一片の鰹節が入っていなければ、一瞬白湯と間違う程の澄んだ色合い。でも、口にふくみ、喉元に流し込む時、ふわーっとした鰹の香りとかすかな塩味を広げます。いわば、このダシ汁は、これからいただくお料理の心構え。期待感も高まるわけです。

小鉢をめで、蓋を開ける工程に宿る食の楽しみ。

日本料理 舞
そのダシ汁が生きているのをすぐさま感じられるのが、付け出しの「浸し豆」と「蟹と水菜のお浸し」。それらは椿のつぼみなどとともに、テーブル中央に置かれた一段高い長方形の木の台に並べられます。

それは、食す前に小鉢をめでるひととき。ここからもう食の楽しみは始まっていますが、自分の手元に取り置き、小さな蓋を開ける工程もさらにワクワク感を高めます。

美味なる酒盗は、鰹の塩辛ベース。

日本料理 舞
揚げ物は、「わかさぎのあられ揚げと京蕪らの酒盗あんかけ」。酒盗と言うと、少量でもお酒が進むガツンとした塩辛さをイメージしますが、ここのあんかけはとてもまろやか。鰹の塩辛をベースにしているので、もちろん塩味はありますが、卵が混ぜられているため、穏やかな塩味です。

それが、これ以上煮込んだらやわらかくなり過ぎるという一歩手前ぎりぎりのやわらかさを保った京都産の蕪によく馴染み、とても美味しい。そこに、あられをまぶして揚げたわかさぎのもっちり感と、衣のサックリ感が加わり、軽やかな余韻を残します。

器は、ここ「日本料理 舞」の斉藤料理長とも仲の良い、人間国宝の陶芸家・井上萬二(いのうえまんじ)さんの作品でした。

コラーゲンの塊をいただく人気のすっぽん鍋。

日本料理 舞
「すっぽん美肌鍋 スープ仕立て」は、ランチコースの人気メニュー。見るからにコラーゲンの塊と思えるゼラチン質の身は、すっぽんの黒い皮と身の境と思われ、口に入れるとぷるぷるとした食感の後、とろっと溶けていきます。

また、すっぽんのしっかりとした身の部分は、マグロに弾力をつけたような食感で、味わいは鶏肉のようにあっさりしています。それが、ネギや大根、お麩と一緒に煮込まれ、深みのあるダシを作ります。

添えられたショウガを入れても美味しいですが、あまりの良いダシに、私はそのままいただきました。これは通常は鍋ごとテーブルに運ばれ、ひと通り食べ終わった後は、雑炊にしていただけるそうです。

心からの“美味しい”は、お皿の上の余情も含めて。

日本料理 舞
焼き物の盛り合わせは、「活け鮑の炙り焼き 岩のり風味、能登産 干し子 目張の山椒焼き、筍の七味焼き」。これは美味なるひと口が集大成されたひと品。

コリコリッとした鮑からはほのかに磯の香りが漂い、一見固そうに見える筍からは、かぶりついた瞬間、じゅわーっと煮汁が溢れます。なまこの内臓を乾燥させた干し子は、思いのほか歯切れが良く、噛むほどに鮭のようなカラスミのような独特の塩味を広げます。

食べ終わったお皿からは、力強くのびる「舞」の文字。これは、商業書道作家・久木田宏延(くきたひろのぶ)さんの作品。言葉にならないお料理の余情を残します。

次ページでは、いよいよメインとデザート!抹茶のプリンに舌鼓です!
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