『バンビ~ノ!』に見るドラマの中だけの幻のお料理。
2007年4月~6月に放送されたドラマの中で、特に注目したいのが、登場人物がそれぞれのシーンで食べていたお料理。これは普通に考えれば、その撮影で使われたレストランのメニューであると思うのが自然なのですが、実は撮影用に特別に用意されたものであることが多々あるのです。
たとえば、松本潤さん主演の『バンビ~ノ!』。お店の前で偶然会った松本潤さんと佐々木蔵之介さんが一緒にディナーをするシーンで、お二人がオーダーしたのは「ホロホロ鳥の胸肉のロースト」や「牛ロースのゴルゴンゾーラソース」。
でも、この撮影に使われた六本木の「チャオベッラ」というお店には、通常これらのメニューはありません。これらは、ここのキッチンを借りたロケの料理担当スタッフが、その場の雰囲気に合わせて調理したものだそう。その証拠に、実際に料理を作るキッチンシーンに出演していたのも、エキストラとなったこの料理担当スタッフ。ここに、シェフ役の役者さん1人を加え、撮影したのだそう。
また、一人街を歩く松本潤さんがお店前のメニューを見るシーンで使われた恵比寿の「Ristorante e Pizzeria da IVO」でも、松本潤さんが読み上げた「そば粉のタリオリーニとキャベツのカラスミ和え」はもともと作っていないそう。これも、撮影スタッフが考えたドラマ用メニューだそうです。
また、別のパターンで、撮影前にあらかじめスタジオ調理したお料理を、お店に持ち込んで撮影するケースもあります。
それは、東山紀之さん主演の『喰いタン2』。東山紀之さんと佐野史郎さんが桜木町の「割烹 濱乃井」でつみれ汁を食べるシーンがありましたが、このつみれ汁こそがまさにそれ。ここのご主人のご自慢は、また別の鍋になります。
また、さらにもうひとつ別のパターンは、通常ないメニューをレストランのシェフに頼んで作ってもらうケース。
それは、長澤まさみさん主演の『プロポーズ大作戦』。長澤まさみさんが藤木直人さんのプロポーズを受けるディナーシーンで出ていた「マンジャ・ペッシェ」のお料理は、こんな感じでとスタッフがイメージを伝え、シェフがそれに沿って特別に作ったメニューだそう。
お店の雰囲気にもピッタリなので、本当にそこで普段出されている一皿に見えますが、実は撮影用のまぼろしなのです。
でも、もちろん本物が出ている場合もあります。それは、織田裕二さん主演の『冗談じゃない!』。この最終回で、飯島直子さんが試飲していたワインは、撮影地となった「伊豆ワイナリー シャトーT.S」の地下のワインセラーに常時、眠っているもの。その名も「オーパスワン」。2~3万するそうですが、これを館内のレストランでいただくのも可能だそうです。
このようにドラマの中のお料理は、本物の中に架空が混じり、判別が難しいのが現状。登場人物と同じ料理を求めて出かけてみるのも思い出に残りますが、幻は幻のまま、そっとしておくのも別の意味で印象に残るものです。
お料理は、いつだって食べる楽しみと思い浮かべる楽しみの2通り。イメージだけを美味しくいただくのも、ドラマの素敵な味わい方とも言えるでしょう。
また、「チャオベッラ」のシェフに伺ったところ、『バンビ~ノ!』の撮影で訪れた松本潤さんは礼儀正しい美青年、佐々木蔵之介さんはカッコイイ大人の男性と言った印象だったそうです。そんなお二人を中心に、撮影は朝8時から夜8時までの長丁場。ディナーシーンだったので、表のテラスも全て暗幕で囲ったりと、かなり大掛かりだったそうです。ドラマの撮影は、いつの日も大変ですね。
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