タランティーノからインスパイアされたボードゲーム
宝石強奪のために集められた6人のギャング達。が、その目論見は失敗。それどころか警官に囲まれ窮地に陥るギャング達。サツの動きが早すぎる! 俺たちの中に裏切り者がいるのでは!?国産ゲームにしては珍しくスタイリッシュなデザイン |
ギャングたちの熾烈な生存競争を描いたクエンティン・タランティーノの処女作にして出世作の『レザボア・ドッグス』はブラックでペーソス溢れる会話、容赦ないヴァイオレンス描写、切れ味抜群のアクション、それらが奇跡の融合を果たし超一級のクライム映画だ。
そしてボードゲーム界に、そんなタランティーノライクなゲームがある。それがグラパックジャパン から発売されている『WARUMONO』だ! 実は双六屋はこのゲームのデザイナーと直接話をしたことがある。そもそもこの『WARUMONO』は『レザボア・ドッグス』から着想を得ており、この映画のようなゲームが作りたいというところからスタートしていた。そして、その試みは見事成功している!
昨日の仲間は今日の敵
プレイヤーはマフィアの一員だ。他の3人の仲間と共にまんまと成功した銀行強盗。が、強奪した現ナマを平等に分配するのは馬鹿げている。俺様一人がすべてをいただいて何が悪い! そう、このゲームはマフィアが仲間割れしたところから始まるのだ。プレイヤーはサイコロによって、碁盤目状になった暗黒街を駆け抜け、空港、もしくは港から外国を高飛びしたものが勝ち。が、そこは蛇の道は蛇、同じ穴のムジナ、裏切り者がそう簡単には逃げおおせるわけがない!
ニセ金を掴ませ! ブラフをかませ!
キンピカのカードがクール。 |
高飛びするためには条件がある。空港(あるいは港)についた時点で「現金」を持っていなければならいのだ。が、これが容易ではない!
プレイヤーは、自分のコマを他のプレイヤーのコマと同じマスに進めた時、お互いのアタッシュケースの中身を移し変えることができる。また、暗黒街は狭いため、プレイヤーの導線はしょっちゅう交錯する。
というわけで現金の所有者はコロコロ変っていくことになる。ココで秀逸なのは、トランクの中身は移し変えてもよいし、またそう見せかけて実際は移し変えなくてもまったくかまわないこと。また中身の交換時は、どちらのプレイヤーもその中身を確認することはできない。
コマはすべて酒のボトルを模してある。そこはかとないユーモアがいい。 |
これによってどういうことが起こるのか・・・ それは誰が本物の現金を持っているのかこれがまったくわからない。現金の所在地の捕捉が非常に難しいのだ。
もちろん中身を確かめる方法はある。手番に移動をあきらめれば(つまり1回休みにして)自分のアタッシュケースの中身であれば確認できるのだ。
しかし、この1回休みは、特に終盤においては致命的。なぜならば、いざ現金を抱いて抜け駆けしようというマフィアがいたならば、他の3人は一時的な連合軍となり、そいつを潰しにかるからだ!
アタッシュケースの確認のために踏みとどまれば、あっという間に他のプレイヤーたちに追いつかれ、中身をかっぱがれてしまうことだろう。