プロ野球の世界。一流バッターともなればそのバットも一流の職人の手による0.1ミリ単位のオーダー品でありほどんど芸術の域です。そんなバットですから選手は道具に最高の敬意を払います。


前にテレビで見て知ったのは、イチロー選手はバットをグランド置かなければならないときは、必ずグローブを枕にして横たえ、地面に直置きすることは絶対にありません。


理由は芝生の水分でバットに湿気がうつってしまっては本来のパフォーマンスが発揮できなくなってしまう可能性があるから。イチロー選手のバットケースが密閉式のアルミ製なのも同じく湿気を避けるためなのです。イチロー選手ならではの「超」のつくこだわりです。


野球にあまり詳しくなかったのでガイドはちょっと前まで、それほど大事なバットは折れさえしなければ一生使いつづけると思っていたのですがどうやら違うようなのです。


バットは消耗品であるということはご存知だったでしょうか? 職人が精魂込めたバットであってもプロ選手であれば年間20~30本、あるいは人によってはそれ以上に消費するのです。それを聞いて最近読んだ本のことを思い出しました。


どのご家庭にも1組くらいはトランプがあることでしょう。そして1組あれば恐らくそれは一生ものだと思います。しかしわずか数時間のゲームでカードを取り替えてしまう人間がいたら「なんてもったいない!」と目をむくと思います。しかしカードなどまったくの消耗品である場所があります。それはCasinoです。



『ゲーム理論 カジノの法則』(アーサー・ファウスト著 データハウス)はカジノでのイカサマの方法や必勝法などが詳しく書かれたギャンブラーにとっては夢のような本なのですが、その中でこんなくだりがありました。


カジノを経営する胴元側のことをハウスといいますが、ハウスの道具に対する気の使いようも大変なものです。


ポーカー、ブラックジャック、バカラなどカジノ場ではカードを使うゲームは事欠きません。しかし一部の客の中にはマーキング(カードにこっそり印をつけること)をしようとする不貞の輩がいます。具体的な方法としては爪や指輪などで引掻いたり、ポマードの油や口紅でこっそり印をつけるイカサマテクニックです。


またカードを長時間使用していれば反りが出たりと客が不正をしなくてもカードに特徴が出てきてしまいます。これを避けるためにカードは数時間でどんどん新しいものにチェンジされます。素人からみれば少しもったいないような気もしますが、道具に求められるレベルが我々とは比較にならないほどシビアなのです。


道具に最大の敬意と細心の注意を払うといえども少しでも機能が衰えれば100%ものと換えるのがプロ。真剣勝負の世界において「努力」や「研鑚」という言葉はやって当然のことであり前提条件でしかありません。その上でさらに道具のコンディション一つにさえ毛ほどの油断もないものだけが、実力の世界で生き残っていけるのではないでしょうか。

【参考関連サイト】

『キョロちゃんに習うカード透視術』ガイド記事
『ゲーム理論 カジノの法則』(アーサー・ファウスト著 データハウス)
『IT Square ビジネスの巨匠たち』バット職人 久保田五十一氏の話

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