ファミコン世代の、あの興奮がよみがえる |
『世界樹の迷宮II
諸王の聖杯』(DS) |
ロールプレイングゲーム(RPG)といえば、日本のゲームを代表する人気ジャンルのひとつ。しかし最近のRPGは、ファミコン時代のRPGとは「似て非なるもの」になってきています。そんな中で、RPGらしいRPGとして大人気になった作品があります。ニンテンドーDSの『世界樹の迷宮』です。今回は、続編まで発売されるに至った「人気の理由」と、このシリーズの「RPGらしさ」との関係を探ってみましょう。
『世界樹の迷宮』シリーズの特長は、プレイヤー自身が冒険者である! というRPG本来のおもしろさを追求していることにあります。ゲームの主人公がプレイヤーの意思とは関係なくペラペラしゃべる「いまどきのRPG」とは違い、プレイヤーが自分の意思とチカラで冒険している!
というヨロコビを感じさせてくれる仕組みが、『世界樹の迷宮』シリーズにはふんだんに盛り込まれているのです。
たとえば、冒険に向かうまえに行う「冒険者の登録」。あらかじめ決められた主人公などは存在しないため、名前・職業・外見などを自由に選んで、自分の分身となるキャラクターを作るのです。たったひとりで冒険に出るのは危険すぎるので、仲間となるキャラクターも自由に作って、自由に「パーティ編成」をすることができます。
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パーティのメンバーをすべて自分で決められる。これは、このシリーズが「RPGらしいRPG」たる第一のポイントです。
極端な例を挙げれば、見た目重視でパラディンやメディックの女の子といったカワイイ系のキャラクターを中心にするもよし、メンバーの職業を全員ソードマンにして“攻撃こそ最大の防御なり!”を実践するもよし。自分で選んだメンバーだからこそ、イタイ目に遭っても「自分の責任」ですし、ユニークなパーティが意外と功を奏したときは、それは紛れもなく「自分の手柄」になるのです。
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ファミコン時代を振り返ってみると、主人公が勝手にペラペラしゃべって物語が進んでいくRPGが当時は少なかったうえに、いまどきのゲームよりも難度が高いものばかりでしたよね。ゲームの攻略法も人それぞれで、プレイヤーの試行錯誤そのものが「自分だけの物語」というヨロコビへと直結していました。「あのダンジョンをこんなメンバーで突破しちゃった!」「あのメチャクチャ強いボスは、じつはこんなカンタンに倒せるんだぜ!」……こんな会話を友だちと交わして、それもまたゲームの良い思い出になっているファミコン世代の方は少なくないと思います。あのころのヨロコビを久しぶりに感じさせてくれるシステムと、ほどよい難度が、『世界樹の迷宮』シリーズには揃っているのです。
つぎのページでは、このシリーズのもうひとつの「RPGらしい」ポイントについてお話します。