| ◆伸びなやむ家庭用ゲーム機、その一方で…… |
|
圧倒的なスペックとブランドイメージを誇るプレイステーション3。しかし高価格ゆえにプレイステーション2ほどの普及は難しいのでは、という声も……。 |
|
ここ数年、プレイステーション2などの「家庭用ゲーム機」の市場の伸びが、ソフト・ハードともに頭打ちの状況にあります。娯楽の、ひいてはライフスタイルの多様化によって、ユーザーのテレビゲームに割ける時間が減っていることと、それに反比例するようにテレビゲームの重厚長大化が進んできたことが、頭打ちの原因としてしばしば挙げられます。また、これまでゲームユーザーの大勢を占めていた小中学生が少子化によって減少していることも、市場規模に少なからぬ影響を与えているようです。
こうした、いわゆる“ゲーム離れ”と呼ばれる傾向は、CESA(社団法人コンピュータエンターテインメント協会)がまとめている「CESAゲーム白書」を見ても明らかです。日本国内の家庭用ゲーム機向けソフト市場は、1997年の5833億円をピークに、2005年には3147億円にまで減少し、ピーク時の54%の水準に後退しています。
■関連リンク:CESAゲーム白書
しかし! じつは携帯ゲーム機なども含めた「ゲーム機」全体を見れば、2004年度・2005年度ともにソフト・ハードの販売数は前年比で増加しています。さらに重要なことに、「CESAゲーム白書」の数字には携帯電話向けゲームやオンラインゲーム、アーケードゲームの市場データが含まれていません。デジタルコンテンツ協会がまとめた「デジタルコンテンツ白書2006」によれば、日本のゲームソフトの市場規模は2001年には1兆200億円、2005年には1兆1400億円に拡大しており、この5年間で一度も縮小していないのです。
とりわけ携帯ゲーム機市場の伸びは、驚異的です。ゲーム情報誌「ファミ通」を刊行するエンターブレインがまとめたゲーム機売り上げランキングでは、1位の『ニンテンドーDS
Lite』が8月だけでも58万台を販売し、従来機種の『ニンテンドーDS』も含めた累計販売台数は7月末の時点で1000万台を突破しています。これはゲーム機としては史上最速のペースです。
| ◆遊び手も作り手も、「携帯ゲーム機」を歓迎 |
|
従来機種をスリム化したニンテンドーDS
Liteだけでも、発売から27週で400万台を突破。こちらも史上最速のペース。 |
|
ファミリーコンピュータが爆発的な人気を誇っていた1980年代に比べて、ゲーム以外の娯楽の充実、パソコンや携帯電話の普及、テレビ放送の多チャンネル化などによって、格段に多様化している現代人のライフスタイル。それゆえにゲームに割ける時間が減ってきてしまうと、ちょっとした空き時間や移動のついでに気軽に楽しめるハードとして「携帯ゲーム機」が歓迎されるのは、ある意味では必然的とも言える時流でしょう。
また、家庭用ゲーム機よりも低い開発費でソフトを作れるハードとして、ニンテンドーDSなどの携帯ゲーム機や携帯電話にいっそう注力するメーカーが増えてきているように感じます。とくに中小メーカーにとっては、美麗なグラフィックや膨大なボリュームといった“人海戦術”を要するソフトでは大手メーカーに勝つのは難しいので、純粋にゲーム性のおもしろさで勝負できるハードとして携帯機が選ばれているようです。
……要するに、需要面でも供給面でも「家庭用ゲーム機」に代わって「携帯ゲーム機」が市場を牽引していく時勢になりつつある、ということですね。もちろん、『Wii』や『プレイステーション3』といったゲーム機メーカー各社の次世代機が出揃えば、ふたたび家庭用ゲーム機が勢いを盛り返してくることもあるでしょう。次世代機についてはこちらのガイド記事で解説していますが、Wiiとプレイステーション3の情報が出揃いましたら、また改めて整理してみたいと思います。
ちょうど先日、「プレイステーション」ガイドの加藤さんも“ゲーム離れ”に関する記事を書いておられました。あわせて読んでみると、より理解を深めていただけると思いますよ!