散歩/グルメ・行列・銭湯の散歩ルート

「夫婦善哉」を読みながら大阪食い倒れ散歩(5ページ目)

小説家織田作之助の作品には大阪の町や店の名前が多く登場する。とくに『夫婦善哉』はガイドマップさながら実在の店が出てくる。今回はそんな小説の舞台を歩いてみた。

増田 剛己

執筆者:増田 剛己

散歩ガイド

ありました「くくる」

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たこ焼き「くくる」を発見!
道頓堀まで出て、松竹劇場方向へ歩く。いやはや、ここもものすごい人である。
昔は食い倒れの人形があったビルは閉店している。さらに行くと、「くくる」を発見。
ここもものすごい行列である。とりあえず行列に並んでみることにした。

眺めているだけで楽しいたこ焼きができるまで

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行列で待つ間、たこ焼きができるまでを眺められる
大阪といえば、たこ焼きである。正直なところを言わせていただくと、大阪はどこのたこ焼きもおいしい。さほど差がないといっていいと思う。この道頓堀にもいくつか行列ができている店があるが、それ以外のところにだって、安くておいしいたこ焼きがある。
しかし、たこ焼きというのは、列に並んで待っている間も楽しい。なぜならば、焼いている様子を見ることができるからだ。
まずは生地をいくつもくぼみがあるたこ焼きの鉄板に流し込んでいく。そして、くぼみのひとつひとつにタコを置いていく。なるほど、そういうタコを入れているのかというのがよくわかる。
そして、千枚通しのような先のとがった鉄製の道具でくるくるとたこ焼きをひっくりかえし、だんだん球の形になってくるのがわかる。見ていて実におもしろい。
そういえば、『夫婦善哉』の冒頭部分にも蝶子の父親が一銭天婦羅を路地で商っている様子が描かれている。なにかそういうものを彷彿とさせる、大阪の気分のようなものがたこ焼きにはある。
「おっさん、はよ牛蒡(ごんぼ)揚げてんかいナ」
と子供たちは言い、蝶子の父親、種吉は
「よっしゃ、今揚げたアるぜ」
と言うのである。


やっとたこ焼きをいただく

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自分でソース、マヨネーズ、カツオ節、青のりをかける
最初はなんのこっちゃわからなかったのだが、ここはその先にテーブル席があって、そこでたこ焼きを食べることができるのである。
やっとレジ前まで進むと、8個入り480円にする。代金を払ってしばし待てば、レシートの裏に書かれた番号が呼ばれ、たこ焼きが出てくるというわけだ。
それにしても疲れた。
お味のほうは、タレのきいた生地がふわふわと柔らかく、タコの食感がなかなかよろしい。もし、今の時代に柳吉がこのたこ焼きを食べたらなんと言うだろうか、僕はそんなことを考えながらも、もうお腹いっぱいである。さすが、食い倒れの町、大阪であった。これからいくつか大阪散歩を続ける予定である。





<関連リンク>
大阪名物 自由軒の名物カレー【自由軒オフィシャルサイト】
正弁丹吾亭 法善寺横町店 [食べログ]
織田作之助研究
織田作之助の夫婦善哉を歩く -1-
織田作之助の夫婦善哉を歩く -2-
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