散歩/江戸風情を探す散歩ルート

四谷左門町から番町へ怪談の現場を歩く(4ページ目)

夏の風物詩というのがいくつかあるが、その定番ともいえるのが怪談である。今回は怪談の現場やそれにまつわる神社などを巡る散歩をしてみた。

増田 剛己

執筆者:増田 剛己

散歩ガイド

番町皿屋敷の現場を歩いてみる

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番町は一番町から六番町まである。
迎賓館を右に見て坂をあがっていくと四ッ谷駅が見えてくる。駅前の交差点のところが、かつて四谷見附と呼ばれた場所だ。ここで、堀を渡り、市ヶ谷方向に歩くと番町である。

「お皿が一枚、二枚、三枚~」

こうお皿を数えるのはお岩さんと並び、怪談話では有名なお菊さんだ。この怪談は「番町皿屋敷」である。青山主膳という武家の屋敷に奉公していたお菊さん。主人の大切にしていた家宝の皿十枚のうち一枚を割ってしまい、手打ちになり、井戸に投げ込まれた。ところが、お菊さんは幽霊となり、先のよに皿を数え、九枚まで数え、「一枚足りない」と言うのが決め台詞である。ただ、先の四谷怪談と同様にさまざまなパターンがある。

なんとも怖い「帯坂」

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お菊さんが髪をふり乱し、帯をひきずって走った舞台として、この坂の名前がついたとか。
たとえば、皿を割ったのはお菊さんではなく、他の者で、その罪をなすりつけられたというもの。あるいは、手打ちにされたのではなく、自責の念で自ら井戸に飛び込んだというものだ。とはいえ、お皿を数えるというのは同じである。やはり、この怪談のポイントはこのシーンなのだろう。

なにが怖いかといえば、わかっているからこそ、怖いのだ。一枚ずつ数えて、くるぞ、くるそ、なんて思いながら、やはり最後は

「一枚足らない」

がきて、ぞーっとするわけだ。
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昔は坂の道幅が狭く、袖が摺れるほでだったので「袖摺坂」という名前がついたそうだ。
番町を抜けていくと、「袖摺坂」へ出た。案内板がある。ここは昔、袖が摺り合うほど道幅が狭かったからこの名前がついたとある。今は車が通るほどの幅がある。少し離れたところに今と昔の地図があった。

たしかに、細い道だが、問題なのは急に狭くなっている点だ。20号線から下ってくる道がここでいきなり狭くなっているため、歩く人は窮屈に感じたことだろう。
まあ、それも

「袖摺り合うも他生の縁」

とEくん。
ふと見ると、もうそこに半蔵門駅があった。




<関連リンク>
東京消防庁<防災館・博物館><消防博物館>
和鉄四谷店 - クチコミ - 四谷三丁目 - Yahoo!グルメ
東海道四谷怪談
四谷怪談 - Wikipedia
於岩稲荷田宮神社
鮫河橋
皿屋敷 - Wikipedia
帯坂
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