散歩/昭和を振り返る散歩ルート

江古田~高田馬場 雨とレトロ喫茶店の散歩(3ページ目)

あいにくの雨の中、感性豊かな学生さんが集まる町、江古田に出向いた。町で一番古いという喫茶店「トキ」で超特大ナポリタンを食べ、散歩はスタート。いくつもの商店街を抜け、高田馬場を目指す。

増田 剛己

執筆者:増田 剛己

散歩ガイド

突然現れた七曲坂

七曲坂。七回曲がっているかはよくわからないが、ゆるくカーブする坂だ
今回の散歩はいくつかの案があって、そのひとつが「えこだ」から「えごた」まで歩こうというものだったのだが、雨のためにやめた。どういうことかというと、西武池袋線の江古田駅周辺の住所は練馬区旭丘である。実際の江古田という住所は中野区にある。しかも、こちらの江古田は「えごた」と発音するのである。まあ、このコースは次回の散歩に譲ろう。

今回はだらだら歩くのではなく、とにかくサッと高田馬場まで歩く。久しぶりに携帯電話のEZナビを起動。これに道案内してもらうことにした。

商店街を南へ歩くと住宅街になる。民家の庭などに植物が植えられていて、雨の中でも歩くのは楽しい。住居表示が「豊島区南長崎」になり、しばらく行くと「長崎銀座」という商店街に出る。今回の散歩コースの商店街はどこも観光地ではなく、地元の人たちのための商店街である。さらに目白通りに出ると、今度は「二又商店街」がある。このあたりから新宿区である。目白通りをさらにまっすぐ行くと、山手通りを越える。

新宿下落合四局という郵便局を右に曲がる表示をEZナビが示している。坂を下ると、七曲坂という坂に遭遇した。古い木の案内があった。そこにはこう書かれている。

「七囲(めぐ)り坂、馬場下道、(おごめやま)の麓にあり大字下落合字丸山と字木村の中間にあり、曲折七カ所より成れる坂路にして、昔より本命称を得たるが、明治三十七年開窄して交通の便に資せり」(『豊多摩郡誌』)

落合では最も古い坂道のひとつで 『若葉の梢』に「頼朝公和田山に御出陣の時、軍勢をはかり給わんとて、七曲がり坂を開かせ給へりと也。 上は鼠山、西は玉川と猪の頭の落合に行き柏木えもん桜へも近し」とある。

なんだか、難しいけど、まあ頼朝の時代からあったんだ。Nくんはしきりに感心している。この雨のせいか、ひょっとしたら頼朝の時代のまま何も変わらないのではないかと錯覚させる。下まで降りたら新しい看板があり、ここにはもっとわかりやすい説明書があった。要するに、源頼朝がこの付近に布陣したときに敵の軍勢を探るためにこの坂を切り開かせたという説があるそうだ。
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