ザリガニ釣りの少年たち
小さな田園風景。案山子もきちんといる |
学校を終えた子供たちが靴を脱いで水の中に入っている。なんだか懐かしい光景だ。公園の中には小さな田んぼがあった。刈り入れ前の稲穂は頭を垂れている。小学校の授業かなにかで作っているのだろうか、こんな小さな田んぼに多すぎる案山子が立っているのもまたおかしい。
「秋のニオイがしますよ」
とNくん。秋のニオイとはどんなニオイなのかと聞けば、野焼きなのだと言う。なるほど、どこかで藁を燃やしているのか、そんなニオイが風に漂っている。
ザリガニを取っている少年たちがいた。棒の先端に糸を垂らし、その先にはイカをつけている。これにザリガニが食いつくとそのまま引き上げるのだ。Nくんが興味深そうに近づいていく。
ザリガニ。久しぶりに見た…… |
「もう10匹釣ったよ」
子供は自慢げに言った。
案内板があった。全長3kmのこの公園は水戸街道まで続いている。途中、京成上野線のお花茶屋駅がある。最初はそこで電車に乗ろうと言っていたNくんが、その先の荒川の手前にある京成線押上線の四ツ木駅まで行こうと言う。しかし、四ツ木駅とはどういうところなのだろうか。
「僕も乗ったことないですよ、この駅からは」
と言う。楽しみだ。
しばらく行くと、大きな公園のある場所に出る。これまで小学生が多かったのだが、ここは自転車に乗った中学生のグループだの、いろいろな年代の子供達が遊んでいる。夕暮れ前、空き地や公園で遊ぶ子供たちがいる風景というのは、昔の日本ならどこにでもあったが、最近はまったく見なくなってしまった。なんだか、ものすごく懐かしい風景に出会った気分である。