散歩/和む散歩ルート

【番外編】波照間島 日本最南端の散歩

10年前、飛行機から見た波照間の美しさが忘れられず、日本最南端の有人島、波照間にやってきた。思わず叫びたくなるような青い海とどこまでも続くさとうきび畑。この世の天国に来てしまった。

増田 剛己

執筆者:増田 剛己

散歩ガイド

果てのサンゴの島、波照間

どこまでも続くさとうきび畑と青い空。ドラマでしか見たことがない風景が続く
10年前、台湾を旅行する際、飛行機から見た波照間島(沖縄県)がずっと忘れられなかった。その当時、波照間島の存在すら知らなかったが、飛行機から青い海の中にぽつんと浮かぶそれを見て以来、ずっと行ってみたいと思い続け、かれこれ10年もたってしまった。いつも東京ばかり歩いているが、今回の散歩はふと思い立って、10年来の願いを叶えに日本最南端の有人島、波照間にやってきた。

石垣島から高速船で約1時間。後半30分がおそろしく揺れる。熟睡していたところを、起こされたくらいだ。本当に生きた心地がしなかった。揺れに弱い人は、ちょっとお金を多く払ってでも小型飛行機でやってくるのがいいだろう。

「波照間」という島の名前の由来は諸説あるが、一番わかりやすいのが「果てのうるま(うるま=珊瑚礁で囲まれた島)」。島は名のとおり珊瑚礁で囲まれ、東西6キロ、南北3キロ、周囲14.8キロと、とても小さい。自転車であれば、1時間強あれば周囲をぐるりと回ることができてしまう。

今回、ぼくは日本最南端の碑を目指して、歩いてみることにした。
島は名のとおり珊瑚礁で囲まれ、東西6キロ、南北3キロ、周囲14.8キロと、とても小さい。自転車であれば、1時間強あれば周囲をぐるりと回ることができてしまう。歩いて回るなら、半日はかかる。何もないので、事前に水分は購入しておこう


ニシ浜ビーチで海に入り、体を冷やす

ニシ浜ビーチ。底抜けの青さにはこころが自然と踊る
まず、波照間の船着場に降り立ちスタート。お昼どきにスタートしたが、歩きはじめても残念ながら昼食をとれるような食堂が見当たらない。自動販売機すらない。何もない。しかも暑い。まいった。汗が滝のように流れてくる。日差しが直角に落ちてくる。

この暑さから逃れるようにビーチめがけて歩く。ニシ浜ビーチだ。おそろしいほど青い。こんなに青い海があるんだなぁとため息。そして、ちょっと一休み。ビーチにはほとんど人はいない。ほてった体を冷やすために、海に浮かんで空を見上げれば、飛行機の往来が激しい。ぽかりと白く浮かぶ飛行機を見て、10年前、ぼくが乗っていた飛行機と同じ航路をたどっているのかなぁとぼんやり思っていると、あっという間に日焼け。日が直角に落ちてくるのだからしかたない。

水族館でしか見たことがないような魚が泳いでいる。見とれながらも、目的地でもある日本最南端の碑を目指す散歩なので、海からあがって再び歩き出す。

さとうきび畑とやぎがお出迎え

島内いたるところで見かけるやぎ。おそらく人の数よりやぎの数のほうが多い
ニシ浜ビーチから高台に向かって歩いていくと、街というかちょっとした民宿が点在する集落にぶつかる。水から洗剤までそろう昔ながらの商店で、さんぴん茶(ジャスミン茶)を買って水分補給。夏の散歩は、こまめな水分補給が大切だ。うかつにも買い逃して脱水症状になる前に、事前に水などを購入しておこう。

集落を抜けると、どこまでもさとうきび畑が続く。歩けど歩けど、さとうきび畑。ときどきやぎ。変則的に牛。人に見事に会わない。結局、集落を抜けて日本最南端の碑まで、誰に会うこともなかった。途中、脱水症状で倒れていても、誰も気づいてくれないだろう。しかし、携帯は通じるのだが。

汗がしたたり落ちるが、日かげを見つけることすら難しい。やぎは暑くないんだろうか。ふとそんな疑問がわきあがる。尋ねてみたが、答えてくれない。

どんどん歩く。「じりじり」という表現がぴったりなくらい、日が肌に突き刺さる。帽子を持ってきてよかった。これから、もし、読者の方で波照間に夏行こうと思った人がいたなら、必ず帽子はもっていってほしい。
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