散歩/和む散歩ルート

三軒茶屋~下高井戸 雨の世田谷線散歩(5ページ目)

またしても雨。しかも、大雨。こんな日は、雨宿り感覚で三軒茶屋から世田谷線に乗る。紫陽花が咲く沿線を乗っては降り、乗っては降り。下高井戸に着くと、いつしか雨はやんでいた。

増田 剛己

執筆者:増田 剛己

散歩ガイド

雨に濡れた梅の実と土俵のある神社

環七を横切る世田谷線。近くの陸橋から見る景色は壮観
「ここは、唯一環七をまたぐ場所なんですよ」

とNくんが教えてくれた。唯一といわれてもなぁ、二箇所もまたがれてもと思って、ああ、と気がついた。世田谷線はほとんどが専用軌道である。それが唯一、一般道に出るのがここなのだ。今の人の感覚だと、そりゃ当たり前だろうと思うかもしれないが、市電や都電といった路面電車は、車といっしょに道路を走っていたのだ。

その姿を見るために、僕たちは環七の歩道橋の上に立った。環七の信号が赤になり、車が止まると電車が道路を横断していく姿が見えた。

歩道橋の上から天満宮が見えた。「若林天満宮」と看板が出ている。こじんまりとした天満宮だが、境内には立派な梅がある。そこにはりっぱな梅の実がなっていて、雨に濡れる姿はなんとも風情がある。

僕たちは再び若林駅から世田谷線に乗った。次に降りたのは宮の坂駅。ここで、驚いたのは僕が昔乗った、緑色の車両が駅の傍に展示してあったのだ。そう、これこれ、これだったよ。中に入ることができる。ああ、こんな木の床だった。ちょっとした感動だ。

世田谷八幡宮内にそっと存在する土俵。今の子供は相撲なんてするんだろうか
駅のすぐ前にあるのが、世田谷八幡宮である。ここには土俵がある。最近はどうなんだろう。僕も子供の頃は、神社で相撲を取った。相撲といってもちゃんとまわしをしめるのではく、半ズボン姿で、土俵にあがって、知らない子供と相撲を取るのだが、取るとお菓子がもらえた。ふと、そんな7、8歳の頃の思い出がよみがえってきた。

神社の敷地は広く、奥はうっそうとした林になっていて、木の下に行くと雨が避けられた。お寺も見ようと、豪徳寺へ。

「まさにLet's 豪徳寺!だねぇ」

などと言うと、Nくんが不思議な顔をしている。ほら、昔さ、映画であったじゃない、「Let's 豪徳寺!」。三田寛子が主演だったかな。Nくんはまったく聞いたことがないと言う。この原稿を書くために調べたら、1987年制作だった。こういうときに世代のギャップを感じるなぁ。

が、肝心の豪徳寺の敷地を一周したが、門は閉ざされており、一般の人は入れないようだ。「烏山川緑道」という遊歩道を歩いた。よく整備された遊歩道だ。散歩にはいい。そして再び宮の坂駅へ。
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