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語り継ぐべきUの功績@TK式格闘学会(2ページ目)

高阪剛と和田良覚。歴戦の戦友が語り合った1時間。その話しは多岐に渡った。彼らの闘い、功績はいつまで語り継がなければならない。TK式格闘学会レポート

執筆者:川頭 広卓

「筋肉の肥大には拘らない。要は動きの中のバランスや軸」

セミナーでは各種トレーニングのフォームに至るまでを力説。次回の『TK式格闘学会』は11月11日(日)だ!(詳細は3ページ目に記載)
今でこそ、細分化された階級制度やルール、運営ポリシーは当たり前のものとなっており、ある部分では選手の命や安全をも守っている。しかし、彼らが闘っていた総合黎明期は、階級制も大雑把で、外国人選手と、10~20kgの体重差で試合をすることすら日常化していた。

そんな彼らが、文字通り命掛けで闘ってきた歴史が、今日の総合格闘技の礎となっていることは明白ながら、決して体重差、体格差に屈することなく、互角以上に渡り合ってきた日本人選手の源には、これらを凌駕するだけのトレーニングや、驚異的な精神力があったという。

ことトレーニングに関して、和田レフェリーは「昔はここを意識して、こうしてなんて考え方はなかったし、ほとんど根性論なんだけど、何故かトップ選手はそれを出来ていました」と話しながら、「ステロイドを使っている外人レスラーがいるけど、じゃあ、力が強いかって言ったら、そうでもない。脇は空くし、バランスも悪いから、すぐ転んでしまったり、寝技の極めも弱い。だから、僕は見た目や(筋肉)肥大には拘らない。ただ、筋肉を大きくするならボディビルがありますから。要は動きの中のバランスや軸が大事」と、その重要性を説いた。

具体的にはどういうことなのか?

「これが絶対というトレーニングはない」と前置きしながらも、和田レフェリーは「上腕二頭筋を鍛えるにしても、単関節ではなく、下半身から全体を使ってやる。ただマシンで単関節だけ鍛えるんだったら、スクワット等で全身を使ったトレーニングをする。要は、多関節運動なんですよね。これが全部バランスなんです」と熱弁を奮う。

また、日本格闘技界の救世主にして、“元祖リアルプロレスラー”桜庭和志を例に挙げては、「サクは、マッチョじゃないけど、組んだらビックリする。あんな体型だからテレビとかでは伝わりにくいかもしれないけど、あの凄さは組まないと分からない。僕は、あの階級なら今でもサクが日本で一番強いと思っていますよ。“なんでこんな力あるの!”って」と話し、その桜庭とは練習で幾度も肌を合わせている高阪は「(桜庭は)身体がデカくて、筋肉があれば強い訳じゃないっていう典型なんですよね。自分の身体の使い方っていうのをよく分かっている」と補足をした。

そして、二人の話しが精神面にも及ぶと、「格闘家は他の競技アスリートに比べて、精神的限界値が高い」と口を揃える。とりわけ、和田レフェリーは「格闘技は、なんだかんだ最後の最後はメンタルですから。ボクシング、キックでも何でも、有名な先生が必ず言うのことは、ココ(心)だけは教えられない」と話した。
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