――結構、長い道のりになってしまったね。
ジョシュ「いや、毎日毎日僕が経験する事に無駄な事なんかないんだ。どんな事をやるにせよ仕事として自分が選んだものに対して、知識や経験が増えて行くんだから」
――まあ、とりあえず現時点ではプロレスの活動は一休みと思っていいのかな。
ジョシュ「そうだね。現実問題としてスケジュールできないと思う。何よりPRIDE-GPに集中したいからね。多分来年になったら、またプロレスをやる余裕も出来るんじゃないかな」
――U-Style かい?
ジョシュ「そうあって欲しいね」
――ハッスルは?(笑)
ジョシュ「あり得ないでしょ(笑)。ハッスルが、スペシャルシリアスマッチを準備してくれるなら別だけどね」
――高田総統じゃなくて、“UWFの高田延彦”が闘ってくれるとか?(笑)
ジョシュ「“モンスタ-軍の人”じゃない方ならね(笑)。タカダはパワフルなローキックと、グッドテクニックの持ち主だからね」
――じゃあ、そろそろもう一つシリアスな質問をさせてもらう事にしよう。まず君がUFC王座を追われる原因となった、ステロイド剤使用疑惑についてなんだけど。当時君は、僕に『自分の使ってるのは“プロホルモン”であって、ステロイドじゃないんだ』という事を言ってるよね。けど、プロホルモンは、ステロイドの前駆体であって、実質ステロイドと大きく変わらない効果を持っているし、そして副作用も同じぐらい起きてしまう。要するに、ドーピングテスト逃れの意味しか無かったわけだけど、当時君はそのことをキチンと認識して使ってたのか、それともあまり理解せずに使ってたんだろうか?
ジョシュ「オーケイ。ある程度はね。ただこの両者って言うのは完全に同じではないんだよ。結果的には同じ効果が出るんだけどね」
――確かに。前駆体ということで、当時よりナチュラルに近いという言われ方をしてたと思うよ。
ジョシュ「最初僕はAMC(パンクレーション/マット・ヒュームのジム)ではウェイトリフティングとかは全くやらなかったんだ。ただひたすらスパーリングをやるばっかりでね。僕がシャノンに会ったのもAMCでなんだけど、彼女の薦めもあってウェイトリフティングもやるようになったんだ。ガン・マッギーとの最初の戦いの頃かな。で、トレーニングをさらに強化するようになる。ペドロ・ヒーゾ戦のころには、ものすごい量の筋肉トレーニングをこなすようになってたんだ。セーム・シュルト戦のころになって来ると、どうやって自分が必要としているのがどんな体であるかも判って来たんだけど、それを手に入れるにはとんでもない時間が掛かると判ったんだ。ダイエットも筋肉増強も必要だ。システムとしてもっと効率よく出来ないか学んで行った結果というべきだろうな」
――最初見たときは、それこそ関取みたいな体格だった君が、どんどん痩せて行って、最後には本当にケンシロウみたいになるんだから、そりゃ驚いたさ(笑)。
ジョシュ「食事をとるというのは、もちろんエネルギーを摂取するためにやることなんだけど、僕は食事自体も好きでね(笑)。もし体を作るためだけに食事をとるなら、僕はプロテインにするよ」
――確かに、君はプロホルモンは経口摂取にしてたよね。いわゆるメジャーリーガーがやってたような、ステロイド注射の類いではなかったように思うけど。
ジョシュ「そうなんだ。僕はあくまでサプリメントの一種としてプロホルモンを捉えてたし、いわゆるステロイド剤の使用とは全く別のケースとして考えてたんだ。AMCには“プロテイン・バー”があってね。通常のプロテイン・バーだと10グラム単位でしか出してくれないんだけど、そこでは倍の20グラムから出してくれてね。糖分や、脂肪分も多く添加されてるんだろうけど。薬局じゃないからね」
――じゃあ、プロホルモンもそこで?
ジョシュ「いや、サプリメントの店があるんだよ。いろんなブランドの健康食品がずらりと並んでて…簡単にいえばビタミン剤の類いを買うのと同じ感覚なんだ。アメリカではそういうサプリメントショップが大きな市場を持ってるんだ」
――そんな風に簡単に手に入ったにも関わらず、後にプロホルモンは違法になって市場からも姿を消す事になったんだよね。
ジョシュ「そうだね。結局、禁止って言っても、理由が後付けになるんだ。最初から禁止のモノじゃなくても、後から後からアレもダメ、これもダメ、ってことになる。彼らには“理由”が必要なだけなんだ」
――イタチごっこだね
ジョシュ「酒もダメ、タバコもダメと言うのと一緒だよ。ある人にとってはマリファナだって嗜好品の一種だが、違法ってことになれば監獄に入れられる。同じことなんだよね」
【PART7】に続く
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