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~3/17バンナVSベルナルド戦の波紋~ タイソン戦に待つハードル(2ページ目)

3月17日の「K-1 GRADIATORS」のメインイベント「バンナVSベルナルド」戦は、その衝撃的な幕切れ故に永久に語り継がれるような試合となった。熱狂したファンの歓声で、試合終了のゴングが聞こえないという空前絶後の事態が起こったからだ。試合後のバンナとベルナルドは、そして石井館長はこの一戦をどう決着づけたか。噂されるタイソン戦への影響を含めて分析する。

執筆者:井田 英登

翌朝、記者会見に詰め掛けた記者陣を前に、石井館長は試合ビデオを再生しながらの事情説明を展開。バンナのフィニッシュブローはゴング後の攻撃と判定し、ノーコンテストへと試合結果を書き直すことを発表した。巷間で噂されるマイク・タイソンのK-1参戦にむけ、K-1側からの挑戦者決定戦と銘打たれたこの対戦は、速やかな再戦を約束しながら、結果を次回以降に持ち越す事になったのである。

館長の事情説明後、別々に会見の席に姿を現した二人の、それぞれの主張がまた面白かった。片や記録には残らなかったものの“事実上の勝者”となったベルナルドは「最後のパンチに悪意はなかったんだ。でもあの瞬間、世界中の誰にでも勝てる気がしたよ」と語り、来るべきタイソン戦への挑戦の意志を御機嫌で披歴する。一方一旦は会見出席を拒否、憤まんやる方ない風情のバンナは、リング上に居た人間としてはただ一人「ゴングは聞こえた」と主張。「だからガードを降ろしたんだ。でなきゃあのパンチは打たれていない。俺は負けてない。ノーコンテストは当たり前だ」と吠えたて、あくまで自己の主張を曲げなかったのである。

あくまで明朗快活なスポーツマンであるベルナルドと、ダークでアクの強い自我を隠そうともせず我が道をばく進するバンナ、あまりに対照的な二人らしい反応ではないか。この二人の描き出すライバルストーリーは、タイソンという最大の外敵の登場を軸に、新たなる第二章に突入したと言えるだろう。

だがここで、あえて着目すべきは、K-1事務局の取った断固たる処置だと思う。石井館長としても、タイソン戦を前に異種格闘技戦を嫌うボクシング界を刺激しないためにも、公式記録を書き換えるというドタバタ劇はあまり取りたくない方策だったはず。だが、あえてスポーツとしての公正さを貫くために、そのイバラの道をえらんだ英断には拍手を送りたい。

ボクシング界はもちろん、プロレス界から、あるいは総合格闘技界からも各種の熱烈なオファーを受けるタイソンにとって、この回り道とも言えるK-1の取った行動は如何に映るのであろうか?
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