「とにかく同点に追いつく」野球を優先し、2連覇
「とにかく同点に追いつく」ための野球、それが日本人の性にあった |
ここである。「とにかく同点にしたこと」が勝利へのキーワードであり、日本人の特性が生かされるターニングポイントなのだ。日本人はたいていの団体競技において、ビハインドだとシュンとして元気がない。「あぁ、負けかぁ」とネガティブな気持ちが心を占領してしまう傾向にある。
ところが、いざ同点に追いつくと俄然勢いづく。「いける!」という思いで心が充満して一気呵成となるのだ。ある意味、単純なのかもしれないが、アメリカ人のように少々のビハインドでも「我々は勝てる」という思考とは一線を画している。
ヒルマンは日本ハムの監督に就任してからの3年間、この日本人特有の性格に気が付かなかった。ところが、気付いてからの06年、07年は、「とにかく同点に追いつく」ための野球を優先し、2連覇を成し得たのである。
郷に入っては郷に従った野球を追及したおかげで、アメリカン・ドリームを叶えたヒルマン監督。ロイヤルズは決して強いチームとは言い難いが、以前に比べて細かい野球が求められているメジャーリーグなだけに、日本での経験が生かされる可能性は高い。日本を去る際に数多くの感謝の言葉を口にしたが、そこにはウソ、偽りはなかった。
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