野球における対比
これまで見てきたデータから、例えば野球の投手における球速なども、おそらくは女性投手のそれは男性投手の80%~90%に収束すると考えられる。
前記の走力の記録では、女性は男性の90%を上回っているが、同一レベルの用具などで同一の荷重(ボール)を投げる・打って飛ばすなどの筋力+瞬発力(遅筋+速筋)を考えれば、むしろ90%に満たない程度をMAXと考える方がいいだろう。
現実には、投手の最速可能記録は、男性が時速160キロ程度、女性投手が140キロ程度と言われている。これで考えると、男女比は約88%であり、肯けるところだ。
以前、東京六大学野球で二人の女性投手(小林千紘・明大、竹本恵・東大)が登板し、話題になったが、小林投手は高校の頃に130キロ台を計測したが、大学当時には110~120キロ台、竹本投手は左腕アンダースローの変則派で球速は100キロ台だったという話だ。
女子選手がプロに混じると…
ここで最初の命題に戻ろう。「女子選手はプロ野球で通用するか」ということである。女子の一流選手がプロに混じってプレーする場合を投手の例で考えてみよう。
他競技で活躍する世界的アスリート--例えばビーナス・ウィリアムスやマリア・シャラポワなどの体躯に恵まれた選手を想像してもらっていい--が幼少の頃から野球のトレーニングに励み、本格派の投手として育ったとしても、その球速はおそらく時速140キロに達するかどうかである。
オーバースローで最大限の力を発揮しても時速140キロとすれば、現在のプロ野球ではおそらく「打ちごろ」の投手となってしまうだろう。
また、男子の野球には一世紀超の歴史がある。女子の一流アスリートは、野球ではなく他のスポーツ--おそらくはバレーボール、バスケットボール、またはソフトボールなど--に行ってしまうだろう。女子野球のすそ野を広げ、そうとうに練達したトレーニング方法を確立しないと、精鋭の揃う男子選手の中では通用しないだろう。
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