アテネ五輪での野球はどうだったか?
アテネ五輪での野球競技は、五輪予選を勝ち抜いた各地区からの代表8チームによって行われた。8チームが総当たり戦の予選リーグ(全28試合)を行い、その上位4チームによる準決勝2試合と、決勝戦・3位決定戦の、合計で32試合だった。
出場8か国の中には、開催国であるギリシャも含まれている。当然、ギリシャでの野球人口は少ない。そこでギリシャは、ギリシャ系アメリカ人などを集めて即席ナショナルチームを作った。オリンピック開催国において野球がマイナー競技だと、このように強引な話になってしまう。野球マイナー国では、チーム編成だけでも相当にコストがかかるのだ。
また、「参加することに意義がある」とは言え、世界でたったの8枠しかない出場チームのうち1枠を、他の有力国をおしのけてまで開催国ギリシャに充てる意義があったかどうかは議論の余地があるだろう。
スタジアム建設の負担
さらに、全32試合のスケジュールを消化するためには、野球場が2つ必要になる。しかもただグラウンドであればいいというわけではなく、スタンド等も設けた「スタジアム」でなくてはならない。かくしてギリシャは、五輪後に使われるあてのない専用スタジアムを新たに建設したのである。これは開催国にとって大きな負担だ。
IOCが最も気にするであろう、「人気」--放映権などの収入につながる--という面でも、ギリシャでの開催は辛いものがあった。ヨーロッパでは野球がまだまだマイナースポーツであるがゆえに、ギリシャにはTV中継やデータ処理(記録など)などのノウハウもない。スタンドもガラガラだった。メジャーリーガーやアメリカの不参加などもあって、「アテネ発野球中継」は、五輪種目としては立ち位置の難しいものだったのだ。
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