「貧打ロッテ」の汚名返上
先発・抑えを中心とした投手は高評価だったものの、貧打のイメージが払拭できなかったロッテ。今年は西岡・今江らの若手の成長、２年目になる外国人バッターの適応、つなぐ打線や走塁向上で、粘りある「ガム打線」が形成されている。
数字的に見ても、チーム打率.298と６点を超える１試合平均得点は12球団ナンバーワンで、ホームラン数は中位なものの、開幕第２戦の楽天戦で見せた26対０の試合のように破壊力は抜群である。
若手の成長
開幕以来、20歳の西岡が１・２番、21歳の今江が８・９番でスタメンに名を連ねている。昨年あたりは随分辛抱して使っているような格好だったが、その種が華開いた。
外国人バッターの適応
2004年に入団した、ベニー・フランコ・李スンヨプの三外国人が揃って好調だ。ベニーは昨年３割30本100打点をマークしたが、今年はフランコが完全にアジャストして昨年よりも確実性を増した。李スンヨプも５試合連続ホームラン、打率３割超など、「日本慣れ」した感がある。新入団の第４の外国人パスクチは開幕から使われ、途中から李と交代したが、前三人とさほどの遜色があるわけでもなく、いつでも代わりが利くだろう。
既存戦力も奮起
若手にスタメンを譲ることもあるベテランの堀や小坂、４年連続３割の福浦も例年よりいいスタートを切っている。里崎・橋本と二人体制となったキャッチャーも打撃好調で、とにかく全体に調子が良く、点を取られても取り返せるムードがある。
日替わり打線・日替わり守備位置
固定しないオーダーが必ずしもいいとは限らないが、今年のロッテの場合は対戦相手との相性・完全休養日・多くの選手のモチベーションという意味で、同守備位置に複数いる選手の使い分け策が成功している。バレンタイン・マジックかもしれない。
打者紹介
＜捕手＞
里崎(22) 32試合 ３本11打点 .297
長打力もあり、４番・５番を任されることも。単調になりがちなリードも向上した。
橋本(33) 27試合 ２本12打点 .284
一発はあるが低打率というイメージだったが、今年は好調。肩が問題か。
＜内野手＞
一塁：福浦、フランコ、李
二塁：西岡、堀
遊撃：小坂、西岡
三塁：今江、フランコ
控え：渡辺正、初芝
小坂(1) 43試合 ３本17打点 .295
12球団ナンバーワンの華麗なショート守備と走塁、そしてファウル打ちの天才。今年は３本塁打と早くも過去最高タイを記録、調子の良さをうかがわせる。
堀(5) 32試合 １本15打点 .350
右打ちの天才で、ランナーありの場面では多様な対応が。西岡の成長で出場機会が減るものの、高打率をキープ。セカンドの守備範囲は広くないが位置取りに定評。
西岡(7) 46試合 ２本28打点 .309
往年の松井稼頭央を彷彿とさせるスピード感で、ショート・セカンドをこなす守備も成長。中距離打者タイプのスイッチヒッターで、三塁打６本・盗塁16の快足は魅力。
今江(8) 50試合 ２本24打点 .277
開幕から全試合出場で三塁を守る。全体的にまだ荒い感じは否めないが、思い切りのいいバッティングで得点機にも力を発揮。
福浦(9) 48試合 ２本38打点 .352
2001年首位打者、４年連続３割のヒットメーカー。広角打法と球の捉え方はイチローに匹敵。例年シーズン終盤帳尻を合わせる印象だが、今年は開幕から好調。一塁守備は無難。
＜外野手＞
ライト：ベニー、サブロー、フランコ
センター：ベニー、大塚
レフト：李、フランコ
控え：諸積、井上、代田、垣内、パスクチ
サブロー(3) 29試合 １本11打点 .321
今季故障明けで途中からのスタートも、高打率・好守備で上々のパフォーマンスを見せる。ちなみに背番号36は、現在李スンヨプに。
フランコ(4) 45試合 10本37打点 .333
中距離打者タイプだが、今年は早くも10ホームラン。守備は内外野どこでもこなせるユーティリティプレーヤーで無難なタイプ。守備範囲は広くない。
大塚(23) 45試合 ３本12打点 .287
安心感のあるセンター守備とシュアなバッティングで、日本人外野手の中では一歩リードか。今年は長打もある。
李スンヨプ(36) 36試合 10本23打点 .310
韓国で56本塁打のアジアの大砲も昨年は不振。今年は開幕をパスクチに譲るも、徐々に出場機会を得て５試合連続ホームランなどで上昇中。レフトの守備には案外慣れてきたが、安心はできない。
ベニー(50) 45試合 ８本44打点 .286
通称「ハワイアン・パンチ」は来日１年目からチームの主砲としての信頼感ばっちり。100キロの重そうに見える体の割には意外に足も速く、外野守備も他の外国人選手よりはいい。
【ＰＡＲＴ３ なぜこんなに強いのか？】に続く→
