何と申しますか、「非常に腹立たしい。」とでも言えば良いのでしょうか。先日、またパリーグで起こってはならない事件が起こりました。みなさんもご存じのように大阪近鉄のスコアラー陣が起こした「スパイ疑惑」です。
以前、マンデーパリーグを取り上げもしたのですが、今年のパリーグは間違いなく「おもしろい」野球を続けています。この時期にしてホームラン王争いは西武・カブレラ、大阪近鉄・ローズが30本の本塁打を記録し、投手陣でも大阪近鉄の前川投手がはや10勝を記録。昨年不調だった千葉ロッテの黒木投手が9勝でこれを追っています。
そして何と言ってもペナントレース。5位西武までが僅差で争う展開。その中で、首位・大阪近鉄は、防御率はダントツのリーグ最下位ながら、圧倒的な破壊力を誇る「いてまえ打線」で近いところでは昭和60年の阪神タイガースを彷彿とさせる勢いで首位にたっています。
本当なら、このクローズアップでもパリーグのおもしろさをもっとお伝えしたいのですが、さすがに今回はばかりは批判せざるをえません。それはなぜか?みなさんも記憶に片隅にあると思いますが、ここ3年パリーグでは必ず「スパイ疑惑」が起こっています。
1999年に起こった福岡ダイエーの学生アルバイトを使ったとされる「スパイ行為(サイン盗み)」、そして昨年の日本シリーズでは、第3戦目に巨人が一矢報いた後に選手から「1・2戦は(サインが)盗まれていたのではないか」というコメントが伝えられました。そして、今回の大阪近鉄のスコアラーによるスパイ疑惑・・・これではせっかくの盛り上がりを見せるペナントレースが全くの台無しになるといっても過言ではないでしょう。
幸いといっては何ですが、昨年の日本シリーズに限っては大きな問題にまでは発展しませんでしたが、一昨年の福岡ダイエーの件に関しては「限りなく黒に近い灰色」で決着しました。
またその処分も極めて重く当時の村上球団社長が戒告と職務停止6ヶ月、岸谷代表に同1ヶ月などが科せられ、これは過去の「スパイ疑惑」では最も重い処分となりました。そして今回の一件では、その福岡ダイエーの処分に次ぐ岡本球団代表に
職務停止7日、依田スコアラーに同30日などが科せられました。
今回の処分は報道などでは重過ぎるのではという意見も散見されました。しかし、アンフェアな行為を禁止する99年のコミッショナー通達や、また同年のパリーグ監督宣言などでも、「ファエプレーを徹底する」とされている以上、例えスパイ行為の意志がなくとも、それととられかねない行為は厳しく責任追及せねばなりません。
またもっと言えば、スポーツのすばらしさはグラウンドという同じ条件下において、鍛えぬかれた力や技、知力をフルに発揮し勝利を争うことが、私達ファンにも感動を与えるのです。グラウンド外からの無意味な助力など必要ではないのです。
事件以降、大阪近鉄はペースを落とすことなく勝星を積み重ねており、選手達には悪い影響は今のところは無いようです。が、勝ち続けなければ「本当の実力」とは受け取ってもらえない重い十字架を背負ったことも事実です。
今回の大阪近鉄の「スパイ疑惑」が本当に一連の疑惑に終止符を打ってくれるきっかけになると信じ、また私達ファンも今後二度とこういったことが起こらないよう、今後の調査にも注視し続けることが必要であると私は考えています。
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