想定される「年俸ダウン」の増加

チーム側はどのような防御策を講じるのか。編成上必要不可欠と思われる選手とは、複数年契約を結ぶことになるだろう。複数年契約そのものはすでに行なわれているが、今後はさらに増えることになるはずだ。

複数年契約を結んでおけば、その選手が移籍を望み、獲得に名乗りをあげるクラブが現われても、契約期間内なら違約金を要求できる。ヨーロッパのマーケットのように、将来有望な若手には独自基準で移籍金を設定するクラブも出てくるかもしれない。

気になるのはここからだ。世界同時不況の影響で、スポンサー収入や入場料収入の減少が危惧されている。これまで赤字を補てんしてくれていた親会社(メインスポンサー)も、業績不振や悪化に直面している。トヨタ、日産、パナソニック、日立、富士通、ヤマハ、京セラ……Jリーグのクラブを支えるこうした企業も不況と無関係でない。厳しい経営環境が予想されるなかで、各チームが人件費を増やすのは簡単ではないだろう。

すると、どうなるか。「A」という選手と複数年契約を結ぶにあたり、基本給もアップさせることになった。今年より来年、来年より再来年と基本給がアップするのが複数年契約の一般的なパターンだから、翌年と翌々年の人件費についても、その時点で増額が決定する。

「A」だけでなく、「B」と「C」とも同様の契約を結んだ。そうやって人件費のボリュームが増していくと、前シーズンまで30人と契約できたのに、次シーズンは28人しか契約を結べないといった状況が生まれかねない。あるいは、基本給を削られたうえに単年契約となる選手が増えることも想定される。

契約を打ち切られる選手はもちろん、年俸がダウンする選手も今オフはこれまで以上に増えるのではないだろうか。「それがプロの世界の厳しさだ」と言ってしまえば、それまでなのだが……。