ゾノさんが本音を隠していたわけではない
ゾノさんの答えは、とてもナイーブで、ちょっと拍子抜けするようなものだった。何となく物足りないのである。本当にそれだけの理由で、あなたのキャリアは下降線を辿ってしまったのか。もっと違う要因があったのではないか。喉元のあたりに引っ掛かるものを感じていた。聞き手の突っ込みが甘かったのではないかという批判は、素直に受け入れるしかない。ゾノさんの事務所関係者の方も、「一度ぐらいは怒らせてもいいんじゃないですか」と真剣な表情で話していたが、そういう感情を引き出すことはできなかった。
ただ、ゾノさんが本音を隠していたわけではなかったと思う。取材中の態度や仕種を見れば、多少なりとも相手の心理は読めるものだ。何度か取材を続けていれば、「こういう質問をしたら、こういう反応をするだろうな」という予測も立つ。相手を少しずつ知ることで、本音を聞き出すための武器のようなものが増えていく。