山本昌邦監督コメント
「アテネ五輪に向け、メキシコ五輪銅メダルから36年の時を超えるための最強メンバーがこの18人だ。60人以上の中から2年がかりで選手を試したが、彼らは大きく成長した。メンバーに入れなかった選手がいるから今がある。残った選手たちには本番で目標を達成してほしい。漏れた選手も厳しい競争を経て、大きく成長した。この間の試合でも言ったが、アテネ経由でドイツに行く選手と、アテネを経由せずにドイツへ行く選手がいる。この経験をドイツにつなげていってほしい。選ばれた選手は今、スタートラインに立ったところ。本番で大きな仕事を果たしてほしい。今回は誰を選ぶのも難しい状況だった。レベルの高い競争があった。そういう1人1人の競争があってこそ、選手は成長する。最終的には世界基準を考え、ドイツ本番につながる選手という視点で選考した。小野はシドニーに出られなかった思いもあるだろうし、高原の分も含めてやってくれるのではないか。高原の招集にさまざまな可能性を模索したが、青木スポーツ医学委員長の決定を最大限尊重した。本当に残念だが、2002年ワールドカップの時のようにブンデスリーガで大爆発してもらいたい。そしてワールドカップ予選にも戻ってきてほしい。沢山言いたいことはあるが、とにかくこのメンバーで頑張りたい。今から3試合もあるし、有意義な強化もできると思う。いいプレーを見せ、アテネに向かいたい」
……トップ下は激戦のポジションだったが、今回選んだポイントは?
「今までいろんなシミュレーションをしてきたが、予選を含めて考えた結果だ。システムも相手によって変わる。一言で「これが基準」とは言えないが、世界基準で選んだとしかいえない」
……平山に期待することは?
「ここまでゴールは少ないが、つなぎやポストという部分は世界で通じている。ポテンシャルも見せてくれている。残り1ヶ月で彼には大きく成長してほしい」
……高原とは直接話したのか?
「電話でやりとりはできるが、すでに決定されたことなので、これ以上のコメントは避けたい。彼がこれから早く代表に戻れるようにサポートするのが我々の仕事だ」
……鈴木が外れた理由は? 中盤の選考についてはどうか?
「最終予選の後、Jリーグや試合を積み上げる中で18人を選んだ。中盤の構成はシステムによって変わる。18人しかいないので、ユーティリティな選手というのは重要だ。それがかけていたのが、鈴木の場合はマイナスポイントだったかもしれない。でもほんの小さな差だ。彼にはここで経験したことをドイツのピッチにつなげてほしい」
……それぞれのポジションで軸になる選手はいるか?
「ゲームが終われば、結果的に軸だったといわれる選手はいるのだろうが、1人1人がやるべきことを出すのが大事。力のある選手が精神的にも戦術的にもゲームを動かすだろうが、それぞれが大事だ」
……栄養士の管さんの必要性は?
「予選で痛い目にあっているし、五輪本番は自分たちで物資を調達できない環境におかれる。移動も厳しい。ADカードを取得しなければ選手村に入れないとかそういう状況もある。先乗りを含め、準備していただきたいと思って入っていただいた。管さんとは2002年ワールドカップの時も一緒に仕事をしているし、実力を評価している、勝つためにはピッチ外の力も必要だ」
……小野の起用法は?
「いくつかプランを考えているが、23歳以下の選手の調子にもよる。彼はどのポジションでも高いパフォーマンスが期待できる。まあ、中盤の前目かボランチ、2.5列目くらいのところで一番いい仕事をするだろう。いずれにせよ、チームバランスを考えていきたい」
……チュニジア戦でメンバーに滑り込んだ選手はいるか?
「チュニジア戦だけで決定を変えたということはない。可能性のある選手にチャンスを与えたが、そこで判断したということはない」
……改めて、五輪の目標は?
「チームの立ち上げの時から「先輩を追い抜くために表彰台に上がろう」と言ってきた。そこまで行けば、選手たちは6試合を消化できるし、成長のためにも必要だ。最後にぐっと伸びる選手が出ることを期待している」
……チームのキャプテンは誰か?
「いくつかの選択肢がある。これから合流する選手もいるから考えたい」
……高原を外す最終決断をしたのはいつか?
「今日の午前中だ。川淵さんと話して、医学委員会の意見を尊重し、ルールに従って決定した」
……バックアップメンバーの扱いは?
「まずGKは突発的なことが起きる可能性もあるから、五輪にアテネ帯同させたい。残りの3人は7月30日までは帯同させたい。1ヶ月離れていて、突如チーム呼んだ時、困らないように、ギリギリまで残したい。ドイツに向かう時に切り離すつもりだ」
平田GSコメント
「2年前の上海遠征、アジア大会からこのチームがスタートし、山本監督と日本協会は何度も話し合いを重ねて強化目標を作ってきた。しかしSARSがあり、五輪代表1次予選のミャンマー戦の後、五輪予選のスケジュールが大幅にズレこんだ。その間、中東遠征や暑熱対策などを経て、今年春の最終予選では見事に本大会出場権を獲得した。その後、ギリシャ遠征も行い、みんなが一丸となって大会への準備をしてきた。多くのみなさんに助けてもらったと思っている。この発表の後も21日のU-23代表韓国戦、25日のU-23代表オーストラリア戦、30日のベネズエラA代表とゲームができる。これもキリンのご協力のおかげだ。
高原の登録については、技術委員会とスポーツ医学委員会で検討を重ねてきたが、五輪には間に合わないという判断を下し、今回、登録を断念した」
(取材・文/元川悦子)
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