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5月30日 日本代表イングランド遠征 アイスランド戦レポート(3ページ目)

イングランド遠征第1戦、アイスランドとの戦いは3-2で勝利。小野→大久保で2得点をあげるなど、攻撃面での成果が目立った。

執筆者:小野寺 俊明

■ジーコ監督

「今日の試合に勝ったことは、当然のことながら非常にうれしい。勝ち方も先制され、アウェーの中、ひっくり返して最後には強豪相手に勝ちをもぎ取った。こういうことは多分、今までの歴史の中であまりなかったこと。そういった意味でも非常に満足している。しかし内容の問題はある。特に後半。あれだけのチャンスをやはり逃した。今日はフレンドリーマッチだからいいとしても、本番でこのようなことが起きた場合、自分たちの首を絞めることになる。このへんをもう一度確認しないといけない。

勝ったことについてはよしとするが、あと内容的なものだ。東アジア選手権の時もそうだったが、1点少なかったことで優勝を逃した経験もある。だから、相当気持ちを締めていかないとまずいと思う」

……前半の45分間は思い描いていた理想的なゲームだったと思うが?

「序盤戦はどうしても自分たちの理想とするスピードを生かした攻めをしたいという気持ちが行き過ぎ、ミスが起こってしまった。ただ序盤をクリアーすることによって、だんだんパスを回せるようになった。そして自分たちの形ができてきた。得点も入ったし、あるいは自分たちのリズムで攻撃ないし守備がしっかりできた。

ハーフタイムにも指示をした点は本当に基本的なことだった。例えば、坪井がイナ(稲本)に出したボールに対して、パスを出した後に一声かけるとか。受け手がどういう状態でいるのか、誰か背負っているのか…といった基本的なことが伝えられていないから、後ろからつっかけられて、ボールをかっさらわれて失点したのだ。これは本当に基本的なこと。コミュニケーションがあれば、絶対にあの失点はなかったと思う。

間違ってはいけないのは、やはりリスタートだ。相手は体力的に勝っているから、どうしてもリスタートを狙ってくる。それだけに、不必要なファールは避ける必要がある。まず相手にフリーキックをさせないというようなことから始めないと、どうしても放り込まれる。相手も経験があるから、DFを抑えながら有利に展開してくる。結局、今日も2点とられてしまった。これが日本にとってこれからすごく深刻な問題。今から栄養剤を飲んで体を作ることはムリだし、自分たちが何をしないといけないかを考えないといけない。不必要なファールをしないことは本当に大事。精神的なものも含めてやっていかないといけない」

……コミュニケーション不足がイングランド戦でも心配だが?

「イングランド戦だからというわけではなくて、どの試合に関してもコミュニケーションというのは非常に大事。最近はよくなってきたと思う。ただし国民性というのか、自分のチームメートに文句を言うわけじゃないけど、注意をうながすというのが国民性でなかなか声に出てこない。これでもよくなっているけど、まだまだ足りない」

……久保が得点を重ねて勝利に貢献したが、好調の要因は?

「最初に彼を代表に呼んだ時、腰の部分が問題を抱えてなかなかまともに練習ができなかった。とにかくそれを治せということ。それとどんなリズムでもいいから自分がある程度自信をもって試合に望めるようなコンディション作りということを心がけてもらった、彼もそれを意識してやってくれた。クラブでも代表に来ても、自分が試合にむけてある程度動けるような調整の仕方をうまくやっている結果だと思う。技術的には非常に高いものがあったし、彼は絶対に世界に出ても、世界を相手にしてもやれるクオリティーを持っている人間だと信じていた。あとはコンディションをいかにもっていくか、それが非常によくなされているんじゃないかと思う」

……前半3バック、後半4バック。この思惑は?

「相手に対して、前半・後半、あるいはハーフタイムではなく、ゲームの中でいきなり変えるということによって精神的な動揺、マークのズレが出てくることはある。だからこそ、3バックと4バックのスムーズに移行できるかどうかを確かめることが狙いだった。システムを変え、相手が混乱してきた時にこちらがチャンスを作り、それをいかにゴールに押し込むか。それはまだ課題だ」

……得点はいずれも小野からボールが出て、2トップが動き出す形だった。これがひとつの形になっているのか? また中村選手はなかなかゴールに近いところでボールに絡むことができなかったが?

「まず中村のケースだが、今季はケガに泣いた。今回も非常にいい形で代表に来てくれると思ったが、ちょっと内転筋の問題――内転筋痛、腫れがあったし、チームが2部落ちするんじゃないかというような懸念もあった。彼自身、なかなかチャンスがない中で、チーム全体を包む空気が重苦しかった。それでも今できる最大限のものをやってくれと言った。何分でもいいからともかく自分で出来る最高のものをと。中村も45分間できるだけのことをやっていた。あんまり急がずに、本来の調子を戻してほしいと思う。

ボランチは両方とも非常にいい。私が指示しているのは、どっちかのボランチがボールを持った時にやはりクロス、あるいはそれを受ける動き出しの速さ、タイミング。それによって選手の特徴を生かした展開ができたのが、功を奏しているといえる」

……次のイングランド戦について?

「あくまでも9日のインド戦に対してしっかりとした調整ということで強化を含めてこの2試合を組んでいる。実際に自分たちがどういうサッカーをすべきかということを、強い相手にトライしていく必要がある。当然スタジアムは本当にいっぱいだろうし。

しかしファウルを冒してしまうと、イングランドにはベッカムのように鋭いボールを蹴ってくる人間が複数いるので、展開は厳しくなる。厳しい強い相手に対して、相手の長所を消しながらこちらの速さや技術といったよさを生かしたい。そのためにも不必要なパスをしないで、落ち着いて対処できるようにならないといけない。このへんのところを明日にでも選手ともう一度話し合ってしっかりとした、うちが今できるベストのサッカーを出せるような精神状態でのぞみたい」

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