見て使って面白いルアーベスト5
面白いユニークルアー
いうまでもなくルアーを日本語で表現すると「疑似餌」となる。これは実際に魚のエサとなる数々の小動物や他の小魚を模したイミテーションで釣ることにほかない。古くはシカなど哺乳類の角で作られたものから、芸術の域にまで達している毛バリまで様々な形で進化してきた。
人間でも騙せそうな精密なディティールを持つものも多いが、実際にエサとそっくりに作れば結果が良いというわけではないのが悩ましいところ。魚が「食べたい」という衝動に駆られる姿や動きは、人間が考えるソレとはまったく別物であるともいえるのだ。
この矛盾に釣り人はいつも頭を抱え、そして答えを導き出してきた。その中のいくつかは良く釣れる定番ルアーとして語り継がれ、あるものは切り捨てられた。しかし、ときに突拍子もないユニークなルアーが生まれてくることもあり、多いに釣り人を楽しませてくれる。これを語りだしたらキリがないほどだが、今回はガイドの独断と偏見でこれまでうならされたことのある面白いルアーをいくつかご紹介したいと思う。
面白ルアーといっても、マクロな視点から選べばそれこそ無数に存在する。ここで挙げた5つはユニークな発想やフォルムだけでなく、比較的イージーに釣れるルアーとなる。「これで釣ってみたい!」という、釣り人ならいつでも思う夢を叶えてくれる名品達をみてゆこう。
バナナを食べるシーバス!? この秘密は後ほど!
5位 ヘドン ビッグバド
このルアーを最初にみたときの衝撃は忘れられないものがある。飲料水の空き缶をそのままデザインに盛り込もうという発想はさすがアメリカン。特に1974年に登場したこのバドワイザーモデルは、まさにこのフォルムのために用意されたカラーリングといえる。
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これはノーマルだが、テールのブレードが良い音になるようヒートンを加工する場合もある。アングラーが自分の好みに合わせてチューニングできるのも魅力 |
ユニークさとは裏腹にルアーとしての実力も兼ね備えている。圧倒的な浮力と大きなリップが作りだすワイドアクションは、ルアーを水面で大きくうねらせ、テールのブレードがその動きに合わせてボディを叩き魚の聴覚に刺激を与える。この激しいアピール力は発売以来数十年が経過した今でも、夏のフレッシュウォーターでの釣りには欠かせない存在となっている。
4位 モトミノー SPシャッド
モトミノー SPシャッド
一見すると普通の魚型ルアーだが、実は仕掛けがしてあって中にゼンマイを仕込むという画期的なアイデアが盛り込まれた製品だ。キャスト時の抵抗を利用してラインを結ぶアイがバネを引き出し、着水すると尾ヒレがバタバタと動き出す。このSPシャッドはボディ内部にギミックを持つ数少ない製品で、実力もさることながら使っていて非常に楽しいルアーだ。
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キャストの抵抗でアイが引き出され尾ビレを激しく動かす。魚たちもさぞ驚いていることだろう |
おもちゃっぽい仕掛けというイメージが強いが、水面を激しく揺らすルアーにワラワラと魚達が群がってくるのを見ているだけでも実に愉快な気持ちになる。フッキングしづらい傾向があるものの、大型狙いに最適なルアーのひとつとして愛用者が多いのもうなずける。動きが止まっても強めのジャークを加えると、またアイが引き出され尾ヒレを動かすことができ、使い方次第でまだまだ可能性を秘めているのも楽しいところだ。
3位 SUMARU セニョールトルネード
画像を見てお分かりのように、フックやスナップが付いていなければこれがルアーだとは誰も気がつかないだろう。実はトラウト達は細長いものが大好きで、ただの棒の先にフックを付けたスティックベイトというジャンルはこれまでも存在していた。しかし、これを開発したSUMARUの北田氏は、スティックを曲げるとトラウトが良く反応することに気づいてこの形に辿りついたというエピソードをガイドに語ってくれた。
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こうして見るとビーズを連結したただの棒… しかし、その正体はエリアフィッシングを席巻している名ルアーなのだ |
その効果は抜群でスレた管理釣り場はもちろん、自然の湖沼でもトラウトを魅了する。使い方も簡単で基本的に投げて巻くだけという手軽さもこのルアーの特長だ。初心者でも比較的釣りやすく、奇抜なフォルムからはイメージできないイージーな釣りが楽しめる。魚が掛かると真っ直ぐに伸びるので、一匹釣るごとに指に絡めてラセン形状を作ることになるが、それがまたこのルアーの楽しみでもある。
2位 ハルシオンシステム チキチータBaby
「先生!バナナでシーバスは釣れますか?」と思わず口走ってしまいたくなるのがハルシオンシステム チキチータシリーズ。独特の湾曲した形状はまさにバナナそのもの。メーカーもそれを意識してか、チキチータBabyにはこちらの画像のようなバナナカラーも用意されている。ご丁寧にバナナブランドの出荷用シールまで貼られているルアーを眺めていると「これで釣ってみたい!」と思わずにはいられないはずだ。
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なんとも愛くるしいフォルムだが、実力は折り紙つき。シーバスミノーでは定番ルアーのひとつだ |
この愛くるしいデザインも魅力だが、実はシーバスでは定番のシャローミノーとして愛用者が多いルアーでもある。もちろんガイドもそのひとりで、このルアーが持つ独特のボディ全体がうねるように動くアクションが大変気に入っている。画像のバナナカラーも濁りが入ったエリアで特に良く釣れるルアー。だから最初の質問には思い切り「釣れます!」と答えておきたい。
1位 ジャクソン ちょうちょ
フックがなければ携帯ストラップか何かだと勘違いしそうなルアーがジャクソンの「ちょうちょ」だ。ファンシーなフォルムから実感できない人も多いと思うが、実はとても論理的な構造をしているのがこのルアーを1位にした理由。水面に落ちた虫は泳ぐことはせず、一か所でもがく。このときに出る水面の波紋に魚はとても良く反応し、波紋の中央にある虫に向かってダッシュして食いつく。これは肉食性の強い魚全般に見られる行動で、ルアーのメソッドとしては一点シェイクという釣り方がそれに当たる。通常のルアーはロッドで操作するときにどうしても移動してしまうが、このちょうちょはルアーが横を向いているので、それが抵抗となって少ない移動距離で多くの波紋を出すことができるのだ。
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こうして見るとまさに花に舞うちょうちょ。見て、使って楽しいユニークルアーだ |
使い方も簡単で、投げて水面に着水したらロッドを小刻みに動かすだけ。まるで水面に落ちてしまった本物のちょうちょがもう一度羽ばたこうとしているかのようで、魚はそれを逃がすまいと猛然と食いつく、ということになる。カラーラインアップも単純に美しいだけでなく、魚がよく反応するアースカラーをうまく使っているのもさすがとうなずいてしまうところ。持っていて、使っていて、さらに釣った魚を見せびらかして、と楽しさがつまった面白ルアーといえる。
さて、ガイドが独断と偏見で面白ルアーベスト5を選んでみたが、ここで紹介したルアーの他にもまだまだユニークなものがたくさんある。いずれまた機会を作ってみなさんにお伝えしたいと思うので楽しみにしていてほしい。
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