ボートシーバスのキャスティング
ボートシーバスのキャスティング
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海上のストラクチャーはシーバスの絶好の着き場。キャストの精度が要求されるシーンでもある |
真下にメタルジグを落とすジギングは別として、狭い船上でルアーを遠くに投げるキャスティングは、ちょっとしたルールを覚えておく必要がある。今回はボートシーバスのキャスティングを分かりやすいように図解してみようと思う。
キャスティングポジション
揺れる船の上でロッドを操作する。これは慣れない人にとって、意外と大変なことかと思う。まずは基本となるスタンドアップの姿勢のまま安定感を保つにはコツが必要なのだ。とはいえ、そのコツはただひとつ。船の釣り座から立ち上がったら、必ず体の一部を船体の一部に密着させるだけだ。
上のイメージ図を見れば分かると思うが、体の一部を船体に密着させてバランスを取るだけだ。これはプレジャーボートでも乗合船でも同じことで、船舷に片足をぴったりとくっつけてしまえば良いのだ。舷が低いプレジャーボートならレールなどを利用して、船の揺れに身を任せられるような姿勢を保つようにしよう。注意することは、船の揺れに逆らおうとしないこと。左右に大きく揺れる場合でも、下半身は船に密着させておけば、上半身が勝手にバランスをとってくれるはずだ。密着させる足は右舷側に立つとき、左舷側に立つとき、さらに船首に立つときなど、シーンによって変わってくるうえ、個人の効き足もあるのでよりバランスを保ちやすいほうを選べばよい。何回か通えば、構え方は自然と身につくと思うので、最初は無理をせず、大きな揺れが来たら釣り座に座ってしまうなど、安全に釣りができるようにしたほうが良いだろう。
コンパクトなオーバーヘッドキャスト
バランスが取れるようにスタンドアップポジションを作ることができたら、いよいよルアーのキャスティングだ。飛距離が必要なときは基本的にオーバーヘッドキャストをする。ただし、ショアゲームのように足元が安定していて、周囲が広いわけではないので、フォームをコンパクトにまとめる必要がある。
こちらは通常のオーバーヘッドキャストのテクバック時のロッドの軌跡を図にしたものだ。後ろを気にしなくてもよいので、大きく振り上げることができる。
そしてこちらがコンパクトなオーバヘッドキャストを図にしたもの。両者を比べれば分かると思うが、テイクバックの動作を最小限にすることで小さなフォームでも大きな飛距離を作ることが可能となる。船の両舷で釣りをしている場合は、お互いのルアーが交差するようなこともある。トリプルフックが体に刺さったりすれば大惨事なので、投げる前には必ず後ろをチェックすることを忘れないようにしてほしい。
また、広範囲を探ることができるショアゲームとは違い、ボートシーバスではコントロールが要求されるシチュエーションが多い。コンパクトに振り抜き、思ったところへルアーをキャストするため、垂らしは少なめにするほうがよいだろう。
ピンスポットへはアンダーハンドキャスト
ボートシーバスのキャスティングでは、ポイントに近づくことができるため、よりソフトに、よりスピーディーにキャストするため、アンダーハンドキャストでルアーを投げることも多い。やり方としてはロッドティップを支点に、ルアーの重みだけで反動をつけてキャストするような感覚だ。このキャストは、周囲に与える危険が少なく、ルアーの回収動作からすぐにキャストに移れるという素早く手返しができるという良さがある。飛距離こそオーバヘッドキャストには届かないが、慣れてくれば15m、あるいは20m程度は飛ばせるようになるはずなので、ぜひマスターしてほしいキャスト方法だ。
上の図がテイクバック、下の図がフォロースルーになる。こうして見ればわかるとおり、振り幅が小さいので、ロッドの弾力とルアーの重さをいかにコントロールするかがコツになる。自分のロッドの特性を把握してしまえばそれほど難しくはないので、何回でも練習してもらえれば意外と簡単なはずだ。野球のように大きく振りかぶればボールは遠くに、下からトスをするように投げればフワッと正確にというイメージを持つとよいだろう。まずは、重めのルアーからはじめると、ロッドがよくしなるのでコツが掴みやすいと思う。
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ストラクチャーの脇をギリギリでルアーが通過するようにコントロールする。自分が思う場所へルアーをキャストすることができればヒット率もグンと上昇するぞ |
コンパクトなオーバーヘッドキャスト、それにアンダーハンドキャスト、いずれも狭い船上では不可欠なテクニックとなる。ボートシーバスの場合、それほどコントロールを気にしなくてもよいことも多いが、ストラクチャーギリギリに落とさなければ、ヒットしないケースもある。キャストの正確性は練習を積むことでしか向上しないので、釣り場に通いながら序所にスキルを高めていってほしい。
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