ブラックバスフィッシングでのルアーの投げ方
ブラックバスフィッシングはルアーを目的の場所へ届けるためのテクニック、いわゆるキャスティングが非常に重要な役割を持っている。ブラックバスが住んでいる場所は入り組んだ地形だったり、生い茂るアシの間だったり、密集する障害物の周辺だったりするので、ちょっとでも投げそこなうと魚そのものが居ない場所をルアーが通ることになったり、たちまち根掛かり(ルアーが水中の何かに引っかかってしまう)したりと良いことはまったくないのだ。この釣りに使われるキャスティングは何種類もあるが、今回はそんな中でも確実に覚えて欲しいテクニックをいくつか紹介しようと思う。
<目次>
オーバーヘッドキャスト
まずはルアーキャスティングのもっともオーソドックスな形であるオーバーヘッドキャストを見てもらおう。これはその名のとおり、ルアーの軌道が頭の上となる投げ方で、日本人的に解釈すると剣道で上段から面を取るようなアクションになる。簡単にいうとルアーをまっすぐ後方へテイクバックし、反動を利用して真正面へ放り投げるような感覚だ。下にある2枚の図を見てもらうと分かりやすいと思う。上手な人になると50m先のピンポイントに一発で放り込んだりするが、最初はそこまでやらなくてオッケー。特にベイトタックルでは力むとバックラッシュしてしまうから注意が必要だ。まずは15mぐらいからはじめ、狙った場所に打ち込めるようになってきたら、少しずつ遠くへ投げるように練習しよう。この投げ方で30~40m先の50cmの円に入れられるようになったら一人前。釣り場に行ってもぜんぜん困ることはないはずだ。ちなみにコツはバックキャストにある。遠くへ飛ばすのも、ピンポイントを狙うのも、テイクバックがしっかりしていないとダメ。ゴルフをやっている人にはすぐに分かると思うが、ルアーを後方へ引き上げ、キャスト開始位置まできたら必ずルアーの重みを感じるまで我慢すること。みんな見落としがちだが、これが一番大事なのだ。オーバーヘッドキャストだけでなく、投げる動作全般に言えることなので是非覚えておいてほしい。 こちらはバックキャストのイメージ。1で構えたらテイクバックを開始するわけだが、3の位置までは一定のテンポを保つようにしよう。3まで来たらルアーの重みが手首に伝わるまでほんの一瞬我慢する。これを忘れるとカーボンの反発を最大限に活かせないので飛距離や正確性も望めない。
キャストのイメージがこちら。テイクバックしたあとはいよいよ前方へ投げる。ロッド全体のしなりを感じながら3の位置でラインをリリースする。4がフィニッシュポイントになるが、一連の動作としてこれを行うこと。あとはルアーが着水するまでそのままの位置をホールドしていればオッケーだ。テイクバックからキャスティング完了までワン・ツーでいけるようリズムを重視して練習しよう。 こちらはキャスティング動作の実写版。ちょっと画面が小さいのでわかりづらいが、このようにロッド全体のしなりを利用して投げるようにすればよい。
よく釣り場でピュンピュンと物凄い音を出しながらキャストしているのに飛距離も出ていないし、正確性もイマイチというアングラーを見かけるが、これはテイクバックが小さすぎ、もしくはほとんど無しなのに、キャストのスピードだけを上げようと力んでいる場合に起こりやすい。テイクバックとキャストは同じテンポで投げた方がロッドに仕事をさせやすいのだ。
ベイトリールとスピニングリールの違いとは?
さて、オーバーヘッドキャストのイメージは大体いま解説したとおりになる。もうひとつ肝心なのはリールの操作だ。ベイトリールとスピニングリールでは機構が大きく違うので、キャスト中の扱いも変ってくる。スピニングリールはミスキャストしてもそれほど大事にはならないが、ベイトリールの場合はバックラッシュという大きなトラブルが待ち構えている。これを防ぐにはサミングと呼ばれるテクニックを使うしかない。サミングはスプール(ラインを巻き取っているドラム部分)の過回転を親指で制御することで行う。コツは軽く親指でタッチしながら回転を確かめるようなイメージを持つことだ。慣れないうちはベイトリールについているマグネット機構(磁力で回転にいっていのセーブを掛ける)や遠心ブレーキ(スプールにあらかじめ遠心力を増幅する機構をつけ回転をセーブする)、メカニカルブレーキ(スプールのシャフトを物理的に締め付ける機構)などを最大限に使うことをオススメしておこう。各機構については購入したリールによって様々ななので、じっくり説明書を読んでおくこと。では、各リールの基本的な操作を解説しよう。
ベイトリールの操作方法
ベイトリールの場合、回転フリーのボタンを押すことでスプールが開放される。ロッドを構えたら、まずはこのボタンをオンにしよう。ちなみにキャスティングに適したブレーキだが、とりあえず遠心ブレーキやマグネットブレーキは最大にしておき、ロッドを構えてスプールをフリーにしたときに、ユルユルとルアーがすべり落ちる程度にメカニカルブレーキを調整するのが基本になる。あとは自分の力量とルアーの重さによって遠心ブレーキやマグネットブレーキを少しずつ調整しよう。 スプールがフリーになったらこのように親指で押さえておこう。テイクバックからキャスト中まではこの指は動かさない。 先ほどのキャストイメージ図の3の位置になったら親指を離す。これでラインが放出されルアーが飛んでいくということだ。 ルアーが飛び出したらすかさず親指でスプールを軽く押さえる。画像では分かりやすいように親指の先端で触れているが、親指のお腹あたりでやっても構わない。自分にとってやりやすいサミングを身に付けよう。 サミングが成功してルアーが着水したらハンドルを回す。こうすることによって回転フリーのボタンがオフになり、ラインが巻き取れるようになるのだ。スピニングリールの操作方法
ロッドを構えたら人差し指でラインを引っかける。これでスプールに巻き取られているラインがベール(ラインを巻き取るための半円状の金具)から開放されるのだ。 次にベールを起こす。リールの種類によってはベールが起きづらい位置があるが、少しハンドルを回してからやるとうまくゆくはずだ。 先ほどのキャストイメージ画像の3の位置に来たら指からラインを放す。これでラインが放出され、ルアーが飛んでゆくのだ。 あとはベールを戻してやればオッケー。手でやってもよいし、ハンドルを回してもベールは自動的に戻るので好みの方法でよい。あとはハンドルを回せばラインを巻き取ることができる。サイドキャストとは? 方法もご紹介!
ブラックバスフィッシングで使うキャスティングテクニックでオーバーヘッドキャストと並びもっとも多用するのがこのサイドキャストだ。飛距離こそオーバーヘッドキャストに劣るが、バックスぺースがほとんど不要なうえ、ルアーの軌道も低くできるためコントロール性も抜群なのが特長。ほとんど死角が見当たらない素晴らしいテクニックなので是非マスターしてほしい。方法だが、構えは正面にとり、真上にテイクバックする。そこからはあまり後方に振りかぶらず、野球のサイドスローのイメージで体の横方向から前方へ向けてルアーを移動させる。右利きの人なら正面から体の右サイドを利用して8の字を描くような感じになるはず。後方に障害物があるときや、狭いボートの上、そして比較的近いポイントを的確に狙うようなシーンで役に立つキャストだ。 構えは前方にとり、そのままロッドを振り上げる。 後方に行きそうになる力を横方向へと移動させる。最初のうちは画像の矢印のようにやや下からすくい上げるようなイメージでロッドを操作したほうがうまくゆく。 ロッドで感じているルアーの重みが前方へ向かったらスプールを開放してキャストする。慣れないうちは遠くへ飛ばそうとせずにサミングをしっかり意識すること。
ピッチングとは?
ブラックバスフィッシングでいうピッチングを日本的に解釈すると下手投げのイメージになる。比較的近距離のピンポイントを狙うためのテクニックで、ブッシュの隙間や障害物の際など、通常のキャストでは不可能に見えるような場所で使うことが多い。このキャスティングテクニックはそうした正確性のほかにも、着水音を極限まで低くできるというメリットもある。慣れてくると人間の耳では分からないような静けさでルアーを投入できるのだ。では、やり方を解説しておこう。あらかじめロッド長とほぼ同等のラインを出しておき、ルアーを開いている手でつまみテンションを掛けておく。次にルアーを放すと同時にロッドを上方向に突き出すようなイメージでロッドの先端を支点に振り子運動をさせてやる。あとはルアーに前方へ飛ぶ力が伝わった時点でラインをリリースしてやればよい。キャスト自体は何回か練習すればできるようになるはずだが、正確性がなによりも大切になるキャスト方法なので10m先の空き缶に100%当てるぐらいの目標は持ちたい。 ロッドを下方に向けて構え、あらかじめ長めに出したラインの先にあるルアーを空いている手でつまんでおく。このときロッドの先端が軽く曲がるぐらいのテンションを保つようにしよう。 ロッドを上方に跳ね上げ、ルアーを前方に送り出すような感覚でキャストする。ルアーには当然フックがついているので指に刺さらないように注意すること。 ロッドをさらに振り上げ、ルアーに前方へ飛んでゆく力を与えてやる。ルアーが加速したらラインをリリースし、静かに着水させよう。あまり力んでやるとルアーが上に向かってしまうので、水面スレスレを飛んでいくようなイメージで操作してやると上手くゆく。
キャスティングテクニックを駆使して楽しく釣ろう!
ブラックバスフィッシングのキャスティングにはこのほかにも何種類かある。例えば、ルアーがまるで跳ね石のように水面を滑ってゆくスキッピング、ヘビーカバーの隙間を次々と狙うフィリッピング、超遠投を可能にするベースボールキャストなどがその代表だ。それぞれ、今後の記事で触れる機会があると思うが、ここで紹介した3つのキャスト方法だけでもテクニックを磨いておきさえすれば、よほど特殊なシーンを除いてほとんど困ることはないだろう。例えば冒頭の画像で紹介したようなシチュエーションの場合、手前の杭回りはピッチング、奥にあるアシ際にはサイドキャスト、さらに奥のシャローにはオーバーヘッドキャストと、考えられるすべてのポイントにルアーを届けることが可能だ。最初はトラブルも多いし、なかなか上手くいかないと思うがそこは練習あるのみ! しっかりがんばってマスターしてほしい。
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