文章:橋本 誠(All About「アート・美術展」旧ガイド)
ライブ感と一度限りの特別な時間を味わいに
「オセロー / イ・ユンテク」(C)LEE Do-hee シェイクスピアの名作×日本の夢幻能形式×韓国シャーマニズムが融合!(フェスティバル/トーキョーにて2009年2月27日~3月1日) |
また、ステージで行われる公演は、なんといっても一回限りの出来事。それは、たとえ同じ演目の公演が同じステージで何度と行われたとしても、まったく同じものは二度と観ることができないということです。そんな特別な時間を一度は味わってみてほしい!ということで、まずはダンスにスポットをあててみましょう。
身体、美術、映像、音楽…生の臨場感、様々なメディアがクロスするコンテンポラリーダンス
ダンスには様々なジャンルがありますが、その中からコンテンポラリーダンスを紹介します。最近では映像や電子センサーなど様々なメディアを駆使した公演も多く、美術家や音楽家とのコラボレーションも行われています。ダンスカンパニー珍しいキノコ舞踊団は、アートユニットPlaplax(プラプラックス)とコラボレーション。2月末から開催される「The Rainy Table」は、美術・映像演出にメディアテクノロジーを駆使した舞台空間になるとのことで注目したいです。
そして、生の身体がみせる動きの迫力。それをまさに体感できるのはダンスカンパニーBATIK(バティック)です。代表作「SHOKU」をはじめ、極限まで身体を酷使し踊り狂う様子は、生と死を感じさせる緊迫感にあふれています。新作公演「another BATIK~バビロンの丘へ~」では、主宰の黒田育世がこれまで振り付けを行ってきましたが、舞踏家笠井叡(かさいあきら)に依嘱ということで、カンパニーの新境地が伺えそうで期待がもてます。
「blue Lion / 白井剛」 (C)相模友士郎 |
演劇でも同じく、若手劇作家の登竜門として岸田國士戯曲賞(きしだくにおぎきょくしょう)がもうけられています。先月1月には第53回受賞作品が発表され、蓬莱竜太の「まほろば」、本谷有希子の「幸せ最高ありがとうマジで!」の2作品が受賞。歴代の受賞作家の中には、別役実、野田秀樹、平田オリザ、宮藤官九郎など大きな舞台や、映画やテレビドラマの脚本家としても活躍する者など、蒼々たるメンバーが名を連ねています。
こういった登竜門的な賞の歴代ノミネート作家や作品を辿ってみると、網羅とはいきませんがざっとコンテンポラリーダンスや演劇のことを知ることができるかと思います。
それでは次のページでは、もう少し演劇にスポットをあててみましょう。