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現代美術+オークション=クラブ?な一夜(2ページ目)

2006年12月1日、銀座のオークションハウスで一風変わったイベントが行われました。現代美術+オークションのクラブ仕立ての一夜。その様子と理由に迫ります。

執筆者:橋本 誠

オークションをもっと身近なものに

下見会
オークションでは通常、作品のコンディションを確認するために下見会が開催される
松井みどり
対談を行う美術評論家の松井みどり氏とシンワアートオークション代表取締役社長の倉田陽一郎氏
Photo(C)Kenji Yamakita
ところでオークションや下見会と聞いて、明確なイメージが湧く方は多くはないと思います。実際のところ、今までの美術作品のオークションというのは敷居が高く、参加者の多くは作品の取引を行う業者や売買に慣れたコレクターの方ばかりでした。

オークションの開催前に、作品の実物やそのコンディションを確認するために開催されるのが下見会ですが、この下見会も基本的にはオークションの参加者が訪れるものです。

今回のイベントは、言わばこの常識を覆すものでした。オークション参加者が楽しめることはもちろんですが、そうでなくてもイベントに興味を持った観客が気軽に参加できる内容だったからです。

通常の下見会とは別に時間が設定され、プログラムとしては音楽・映像のパフォーマンスに加え、美術評論家の松井みどり氏による現代美術史のレクチャーが謳われていました。しかも入場無料で、クラブイベント仕立てとなれば、普段は重たいオークションハウスの扉もずいぶんと開けやすくなります。

今回のイベント開催の狙いは正にこの部分で、スーツを着た関係者らしき人からジーンズ姿の学生まで、実に様々な人が会場に訪れていました。2時間半のイベントの間に、延べ300人以上の来客があったそうです。

日本の現代アートを盛り上げる

倉田陽一郎
日本の現代アートについて熱く語った倉田氏
Photo(C)Kenji Yamakita
今回のオークションは内容が現代アートのみに絞られ、しかもその多くを日本の現代アート作品が占めていました。

日本にはいくつかのオークション会社がありますが、一定以上の規模で現代アートを専門に扱うオークションは少なく、今回の様に日本の現代アートが前面に押し出された内容は初の試みだと言えます。

シンワアートオークションでは、今年の5月に出品29点の現代アートオークションを開催、好評を得たため今回の本格開催(出品121点)とイベントに踏み切ったそうです。

イベント中に、観客へ向けて「日本の現代アーティストのすばらしさを世界に知ってもらいたい」と熱く語ったのは、代表取締役社長の倉田陽一郎氏。出品状況や落札結果が公正に完全公開されるオークションは、単に作品が流通する仕組みを担うだけでなく、どのようなアーティストの作品が存在して(出品されて)いて、評価を受けて(落札されて)いるかが最もリアルに分かる場のひとつだとのこと。

アーティストがまだ生きている現代美術においては、美術館での発表歴や評論家の評価だけでなく、オークション業界における作品の動きすらもが世界の注目を浴び、アーティストの認知やその後の評価につながっていくという考えにはうなずけます。

またインタビューでは、「特に若い人にも来ていただいて、コンテンポラリーというものを共有して欲しかった。一緒に日本のアート業界を盛り上げていきたい。」ともお話いただきました。

今回のイベントに限らず、オークションに参加する、作品を購入するということでなくとも下見会は自由に入場することができるので、気軽に足を運んでどんな作品が出品されているのか見にきて欲しいそうです。

確かに一時的だとはいえ、多数の作品が揃っているのですから、ひとりでも多くの人が見ることができた方がいいですね。たくさんの人が、様々な場所で、様々な形でアートにふれることが、業界全体の活性化につながっていくのかもしれません。

最後のページでは、今後のオークション情報をご紹介!
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