印象派をさらに展開させたセザンヌ
ポール・セザンヌ《サント・ヴィクトワール山》 |
セザンヌは、単に網膜に映るつかの間の印象だけではなく、基本的な形や固有な色を画面に留めようとしました。
例えば、作品《サント・ヴィクトワール山》では描く形を単純化し、ごく限られた色とわずかな線によって風景を描きました。色使いはモネなどの印象派風ですが、色数や筆の入れ方を最小限に抑えているように見えます。彼はこうすることで、描くものの特徴を純粋に表現できると考えたのです。
後にはさらに一歩進んで、風景でも人物でも、その一部を省略したり、変形したりする作風を打ち立てました。
後期印象派の画家たち
ジョルジュ・スーラ《グランド・ジャット島の日曜日の午後》1884-86年 |
ジョルジュ・スーラ(1859-1891)は、印象派に特徴的である様々な色の絵具を塗り重ねることで豊かな色彩を表現する手法を取りましたが、規則的な天描(※)により画面をつくりあげました。そのためスーラの作品には、独特の不思議な印象が漂っています。
※線や塗りを全て細かい「点」を描くことで表現する手法。
フィンセント・ファン・ゴッホ《種まく人》1888年 |
ゴッホの内面の感情をも表すかのような強烈な色使いと筆致は、20世紀のフォーヴィスムや表現主義に受け継がれていきます。
【関連記事】
- クールベ、マネ 近代美術のはじまり…写実主義の作家クールベやマネを紹介した「巨匠で見るアート:近・現代編」記事
- サンラザール駅からの旅立ち モネの足跡をたどる(その1)…モネが描いたモチーフやモネの作品が見れる美術館を紹介する「フランス」ガイド記事
- 19世紀絵画教室…19世紀の絵画を紹介するサイト。クールベやマネの作品紹介もあり。
- アート at ドリアン…西洋美術史の運動様式に沿って説明と画像を掲載しているサイト。
いかがでしたでしょうか。モネに代表される印象派と、セザンヌなど後期印象派の画風は似ているようでかなり違いがあることがお分かりいただけると思います。比較してみるのも面白いですね。
「巨匠で見るアート:近・現代編」の次回は、フォーヴィスムの作家、アンリ・マティスなどを取り上げます。お楽しみに!