日本画/日本画関連情報

これが日本画の超新星だ!2007(3ページ目)

若手日本画家事情に詳しい佐藤美術館・立島氏とアートスペース羅針盤の岡崎氏のお二人に、今年の展覧会を振り返り、今後活躍しそうな若手日本画家を、1976年以降生まれに限定して語ってもらいました。

執筆者:松原 洋一

ガイド:では、無所属にいきますか。岡崎さんの画廊では無所属作家の個展やグループ展がとても多いですが、そんな中でも特に印象に残っている人はどんな人でしょう。
四宮義俊
四宮義俊
岡崎:一昨年ですが、うちで個展をした四宮義俊がいいですね。彼は自分で種を撒いて育てた植物から染料を作って作品に使ったり、細かいところにまでこだわりがあって、学芸員や研究者に高く評価されていました。とても将来性を感じますね。
立島:四宮君もうちの奨学生ですが最初に作品を見たのは羅針盤の個展です。彼はものすごく研究熱心!素材に関しても、表現についてもです。いささか熱心すぎるところもあるくらい(笑)でも他の作家も見習って欲しい。

漆原夏樹
漆原夏樹
岡崎:羅針盤セレクションで企画した漆原夏樹もよかったですよ。瑠璃色の鳥がとても素敵でした。
立島:彼もここで(羅針盤)2度作品を見ましたが、あの極端に精緻な描写がおもしろいですね。日本画であれだけ多くの要素を細かく描き込めるところが他の作家とはちょっとちがうところかな。描画の真実性というか・・・そういうものを感じますね。

麻生志保
麻生志保
岡崎:あと、REICOF ART AWARD 2007で大賞をとった手塚葉子は昨年うちで個展をしたのですが、開けっぴろげな性格で、描き方も大胆。大物の雰囲気がありましたね。また、麻生志保は、絹本に描いた女性像で、マニアックな人気があります。
ガイド:麻生さんは創画にも出してますよね。でも、さすがに岡崎さんの画廊では、バラエティ豊かな若手が発表してますね。では、他の画廊などで見た無所属作家についてはどうでしょう。

金木正子
金木正子
立島金木正子荒川由貴、あと先ほど話題になっていた東北芸工大の金子富之。
金木は、東京藝大中島千波研卒。昨年からおぶせミュージアムと当館で巡回開催しているShinPA展という千波研出身の作家たちによるグループ展に参加しているのですが人物作品がとても気になる。描写としてはとくに上手いというわけではないのですが作品(人物)に込められているエッセンスの存在なんだと思います。
金子富之
金子富之
荒川は、多摩美卒、今年新宿のギャラリー渓での個展を見たのですがこちらは人物というよりは群像かな。作家の等身大の目線、人間臭さが作品から滲んでくるおもしろさですかね。
金子は、化け物ばかり描いている。最近はギャラリーf分の1で二人展をしていましたが、作品を1点見ただけで作家の頭の中に凄い妖怪がたくさんうごめいているような想像を見る側にさせるからおもしろいのです。

岡崎:ガレリア青猫で個展をしていた西川芳孝は、うちでも12月に個展をするのですが、形の造り方がおもしろくて、過去2度うちで個展した時もコレクターに大好評でした。
西川芳孝
西川芳孝
ガイド:いかにも売れそうな絵ですね。
岡崎:うちは画廊ですので販売が伸びなければ企画も続けられません。今年、松岡歩を中心としたグループ展「といろ展」をしたのですが、メンバーの大半が東京藝大の学生だったにもかかわらず、売り上げはよかったですね。この展覧会は松岡君から、芸大の学生達の自主的なグループ展を開きたいとの依頼があって開催したのですが、彼は画廊で作品を発表することの重要性がよくわかっていて、後輩たちにも早く発表する場に慣れてもらおうと、院生や学部の学生たちを集めたんですよ。
ガイド:日本画は芸術品であるとともに高価な商品にもなりうるわけですから、そのへんのところも視野に入れた活動はこれからも重要ですね。
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