最近ではネットの普及もあってか美術界でも若手作家の露出が多くなり、コンテンポラリー作家などではどんどん年齢が下がってきているように思います。そこで、今回の日本画年末回顧では、学生を含めた若手日本画家に焦点を絞り、若手の動向に詳しい佐藤美術館主任学芸員の立島惠さんとアートスペース羅針盤の岡崎こゆさんをお招きし、対象を1976年以降生まれの学生を含めた超若手日本画家に限定、今年一年の展示を振り返りたいと思います。(敬称略)

野角孝一
野角孝一
ガイド:では、まず公募展から見ていきましょう。今年の創画展では、創画会賞受賞者6名のうち荒木亨子野角孝一が大学院在学中でした。私の記憶ではこれまで学生が創画会賞を受賞したことはなかったような気がするのですが、それにしても最近の公募展は美大に在学中の人とか若い人の入選が目立ちますね。1976年以降生まれで、今年公募展で印象に残った日本画家はどんな人がいるでしょうか。まずは日展から。

青木惠
青木惠
立島:佐藤美術館の奨学生もいろいろな公募展やコンクールに出品していますが、日展では青木惠。彼女は多摩美術大学大学院在学中で、当館の今期(07)の奨学生美術展にも出品しています。カラリストで構図もユニーク、それにイマジネーションが豊かなんだと思います。これからの作家ですね。
ガイド:日展には岩田壮平もいますね。彼は特選を受賞したり実績十分なのですが、1978年生まれですから、まだ今回の若手枠に入ります。他にはどうでしょう。

坂本藍子
坂本藍子
立島:今年は出品していませんが、羽黒洞で個展をしていた坂本藍子が印象に残っています。とても繊細な描写表現で最近は彼女なりの個性も上手に醸し出しているし、なにより作品から描くことに対しての誠実さというか率直さというか・・・そういうものを感じます。
ガイド:日展の日本画部は他ジャンルに比較して若い人の出品が多いのですが、絞るとなるとけっこう難しいですね。私も今年は出品していないのですが、金沢美大博士後期課程に在学中の鈴木良平に期待したいですね。彼は今年銀座で開催されていた金沢美大OBの大展覧会の企画のなかで、柴田悦子画廊で四人展をやっていたのですが、作品も人物も聡明な印象を受けました。

岡崎:私は飛行機をモチーフにしていた清水智和の作品が印象に残りました。構図や色彩がとてもよかったですね。
ガイド:彼は1971年生まれなので今回は対象外です。
岡崎:ええっ!あんなに若いのに対象外なのっ。(笑)
ガイド:そうです。超新星が対象ですから。
立島:あまりむやみにもてはやすのは良くないと思うけど、真摯に取り組んでいる若い作家はなるべく積極的に取り上げるようにしましょう!
ガイド:では院展にいきますか。

岡崎こゆ・立島惠
右:立島惠氏(佐藤美術館主任学芸員):佐藤美術館を運営する財団法人佐藤国際文化育英財団では、毎年全国の美大から推薦を受けた学生の中から選抜し奨学金を出して制作活動を助成している。過去の奨学生からは松井冬子、奥村美佳ら多くの日本画家が出ている。

左:岡崎こゆ氏(アートスペース羅針盤オーナー):アートスペース羅針盤では、学生を含めた若手作家の企画展・グループ展を多く開催、コレクターや研究者の観覧も多く、若手作家の登竜門的発表の場となっている。過去には三瀬夏之介、千々岩修ら多くの有望日本画家が個展をしている。