日本画家というと、歴史上の人物やテレビなどで紹介される高齢の画家を思い浮かべる方も多いと思いますが、 当然のことながら20代、30代の日本画家もいるわけで、彼らはこの現代社会をちょっと特異な感性で生き抜いています。 そんな若手日本画家のきわめて個人的なお話と画像とともに、日本画をご紹介いたします。
その昔、池袋周辺に貧乏絵描きが集まっていた地域がありました。彼らは酒を飲んで は妥協のない芸術論をたたかわせ、理想の絵を求めては精神をすり減らしていまし た。そんな彼らのいた一帯を、ある詩人は敬愛の想いを込めて「池袋モンパルナス」 と呼びました。これは、古きよき時代のお話です。そして彼らは「よい絵を描けばい いのだ」と呪文のように繰り返しながら酒をあおり、強引な恋愛に明け暮れたのでし た。そう、現代の日本画家にとっても、恋愛は必須アイテムなのです。
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「君を抱きしめたい、其の名を呼びたい、なのに、どれほど強く求め合い、 果てるまで抱きしめても、其の温もりは明日には不確かな感覚の記憶になる。 たとえ、何度君の名を叫んでも、この震えは虚ろな行方の木霊でしかない。 君を愛した証しが必要なのです、君を描く以外の方法を私は知らない。~
池永康晟 コメントより」
日本の絵画は、床の間に飾る「掛け軸」や襖そのものに描く「襖絵」など、 日本家屋の一部として調和できるようなものが発達してきました。 制作そのものにも「空気を描く」的な精神性があり、現代日本画にもその伝統は受け継がれていて、 現代社会のさまざまなシーンでその場の空気と調和しながら存在感をみせています。
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「東海TVドラマ『牡丹と薔薇』の中に出てくる絵を描きました。この絵はドラマの中で、北原佐和子さん演じる野島富貴子が18歳の誕生日にプレゼントされたという設定になっています。監督さんから『牡丹と薔薇が画面で対等に見えてくるように』という注文があり、花の構図に苦労した思い出があります。~
石元靖大 コメントより/
作品とドラマ情報」
明治時代の女性画家の作品を見ていると、風景は少なく、人物や子供など日常を描いたものが多いことに気付くと 思います。これはスケッチ旅行などでの女性の遠出が困難だった時代背景を物語っています。 現在では美大や芸大で日本画を学ぶ女性は多く、制作に育児に大胆に活動しています。
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「今年の春から和歌山県の龍神村に移住することになりました。東京で生まれ育ったので、田舎での生活は少し不安ですが、子供たちの心の中に、大自然の原風景を作ってあげられればと思います。移住の話がある直前に、『神』という文字や川の夢を見ていて、不思議だと思いましたが、きっといい知らせなのだろうと、すぐに決めました。~
佐藤芽実 コメントより」
日本画には花鳥風月など古来からのモチーフもあれば、身の回りの日常や都市風景をテーマにしたものなどさまざまです。もちろん同じものをモチーフにしても描く画家によってとらえ方はいろいろで、 多くの画家が描いてきた「花」も、人によってはこんなふうになります…。
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「例えば、あなたが一つの花を目前にしたとします。 その人が花から受ける気分、感覚は十人十色でしょう。 そして、そのちょっとしたきっかけでも、自分の中で暖め、膨らませていく事により、 楽しい作品が出来上がるかもしれません。 私も、じっと花を見ているうちに、イメージが膨らんできました…。~
塩崎顕 コメントより/
完成作品」
日本画と油絵の大きな違いの一つにその画材があります。一般的に油絵はチューブから絵の具を出して油 で溶かしながら描きますが、日本画は、鉱物を砕いて粉にした岩絵具を、動物の皮を煮て作 った膠で接着しながら描いていきます。日本画は、岩の粉の一つひとつが作り出す小さな自然なのです。
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「音符という下描きに楽器や声といった音色を重ねて作品となる音楽。 日本画は音符の代わりに線を描き、大地からの贈り物である岩絵具を重ねて作品 にします。両者はちょっとだけ似ていませんか? 音楽を聴くように日本画を観る。作曲するように描く。こんな楽しみ方もありで はないでしょうか。~
羽子田龍也 コメントより」
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