デレク・ハートフィールドの謎
<DATA>タイトル:『風の歌を聴け』出版社:講談社著者:村上春樹価格:400円(税込) |
文章は読み辛く、ストーリーは出鱈目で、テーマは稚拙だけど、文章を武器にして闘うことのできる数少ない非凡な作家。ある晴れた日曜日の朝、右手にヒットラーの肖像を抱え、左手に傘をさしたまま、エンパイア・ステート・ビルの屋上から飛び降りたという作家。「僕」による引用も魅力的です。
読んでみたいな、と思います。しかし……。この作家について知らないという方はぜひ、小説を読んでから、名前を検索してみてください。インターネットがない時代に調べた人は、さぞかし驚いたことでしょう。村上春樹、デビュー時からタダモノではありません。
次回も村上春樹の過去の作品を紹介するつもりでしたが、『一九八四年』の新訳が出たので、そちらを先にとりあげたいと思います。