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寄り道しながら『1Q84』を読む【1】(2ページ目)

話題沸騰中の村上春樹『1Q84』。ちょっとご紹介が遅くなりましたが、あちこち寄り道しながら、じっくり読みたいと思います。

石井 千湖

執筆者:石井 千湖

話題の本ガイド

1984年とはどんな年だったのか?

二十世紀〈下〉 (ちくま文庫)
<DATA>タイトル:『20世紀』出版社:小学館著者:橋本治価格:756円(税込)
『1Q84』は、1984年の日本が舞台になっています。という書き方は正確ではないかもしれません。が、とりあえず、今から25年前。自分が何歳だったのか計算してしまいますね。どんな年だったのでしょう?

歴史に弱い私が、何年に何が起こったのか参照したいときにめくる本があります。橋本治の『20世紀』。1900年から2000年まで、1年につき2見開きで概況を解説した本です。「1984」の項は、1949年にイギリスでジョージ・オーウェルの『1984年』が出版されたという話から始まっています。

1949年といえば、村上春樹の生年ではないですか。作中にもオーウェルの『1984年』は出てくるし、読みたくなりますが、現在品切れ。7月に新訳がハヤカワepi文庫から発売される予定だそうです。それから、あらためて読んでみたいと思います。

『20世紀』の紹介によれば、『1984年』は、第二次世界大戦後の東西冷戦時代を背景に、強大な国家権力による救いのない管理社会が到来した未来を描いている小説です。

一九六〇年代末の学生運動に対する国家権力の取り締まりの強さは、『一九八四年』的未来の到来を感じさせた。

橋本治は1948年生まれ。60年代末に大学生だった世代にとってはとりわけ、『1984年』はリアリティがある小説だったのでしょう。そして実際に1984年が訪れてみると……

未来を予言する本から、過去を振り返る本へ

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