銭のためならなんでもするズラ――。貧しさゆえにつらい幼少期を過ごし、罪を重ねながら成り上がっていく主人公の壮絶な生涯を描く『銭ゲバ』。ドラマ化され、再度注目されている名作漫画をご紹介します。

蒲郡風太郎が“銭ゲバ”になったわけ

銭ゲバ 上 (1) (幻冬舎文庫 し 20-4)
<DATA>タイトル:『銭ゲバ 上巻』出版社:幻冬舎著者:ジョージ秋山価格:720円(税込)
一コマ目に描かれているのは、土の中から何かをつかもうとしているかのように伸びている人間の手、降りそそぐ雨。冒頭から衝撃的だ。そこに、こんな言葉がかぶせられる。

金! 金! 金! 金! いったい金とはなにか? 金はある時にはどんな欲望も満たしてくれる。ある時はひとをどれいにし またある時はひとの心を狂わし滅亡の悪をうむ!

物語は、主人公の蒲郡風太郎が、死体を埋めた後、濡れた地面を這いずりながら金を拾い集めるシーンから始まる。彼が最初に殺したのは、にいちゃんと呼んで慕っていた、親切でやさしい隣人だった。

治療費が払えなかったために母が病死。金さえあれば……という思いから盗みを働いた現場を見られ、もみあううちに殺してしまったのだ。大好きな人の命を自ら奪ったことで、風太郎はあらためて“銭のためならなんでもする”と決意。次々に罪を重ねながら、大企業の経営者に成り上がっていく。

というストーリーは、なんとなく知っている人も多いと思う。が、実際に読んでみると、いろんな意味で圧倒される。

次ページでは『銭ゲバ』のここがすごい!というところをピックアップ。