雨の日は、家でゆっくり読書がオススメです。今回はガイドが別人になりきって、架空の読書日記を書いてみました。雨音を聞きながら読みたい短編小説をどうぞ。

三崎亜記「雨降る夜に」

バスジャック
<DATA>タイトル:『バスジャック』出版社:集英社著者:三崎亜記価格:1,365円(税込)
×月×日

ざあざあと水の音が聞こえてきて、目を覚ます。閉めきった部屋は蒸し暑い。不愉快だが、外へ出るのは億劫だ。ぼんやりとベッドの横にある書棚を眺めながら、三崎亜記の「雨降る夜に」のように、可愛い女の子でも訪ねてこないかなと思う。

「雨降る夜に」は、『バスジャック』(集英社)に収録された、わずか四ページちょっとの掌編だ。ある雨の夜。語り手の〈僕〉の家に、見知らぬ若い女性がやってくる。もう開いていますか?といって。明らかにおかしな状況なのだが、〈僕〉はつい彼女を部屋の中に迎え入れてしまう。彼女はなぜか〈僕〉の家を図書館だと思っており、実際に〈僕〉が持っている本を借りていた。

〈僕〉は請われて、彼女が借りたいという本の感想を話す。彼女の表情の輝きを目にして、忘れかけていた本を読む喜びがよみがえる。その夜を境に、〈僕〉は雨の日に彼女のためだけの図書館を開館するようになる……。本を人より少し多めに読んでいることしかとりえがない男にとっては、夢のような話。

雨の日だけ開館する図書館で読みたい話は?