金曜日は年齢から自由になれる本を読んで若返るヴァージニア・ウルフ『オーランドー』
36歳の女性にして360歳の両性具有者、エリザベス1世お気に入りの美少年、やり手の大使、ロンドン社交界のレディ、文学賞を受賞した詩人……いくつもの顔を持つオーランドーの物語。 |
本書はイギリスの貴族の家に生まれ、エリザベス1世に寵愛された菫(すみれ)色の瞳の美少年で、宮廷を追われたあとは大使としてトルコへ渡り、30歳になってなぜか女性になってしまった詩人オーランドーの伝記という体裁をとっています。本文中のあちこちで伝記作家が顔を出したり、肖像画が挿入されたり、遊び心もたっぷり。
ある日、鏡を見たら男から女に変わっていた、という展開にも驚くのですが、オーランドーは30代から年ををとりません。そして16世紀に生まれて20世紀まで生きている。荒唐無稽な設定ですが、あたかも実在した人物のように描かれているところが面白い。
エイジレスなオーランドーになりきってみれば、年齢へのこだわりなんて消えてしまうのです。
……で、ベスト5なのですが、土日が残っています。実はこの5作、読むと他の本に興味が湧いたり、ドラマや映画も見たくなる作品を選んだつもりなんですね。もし、何か読んだり見たりしたくなったら、土日にぜひチャレンジしてみてください。未知のものに好奇心を持ち続けることも、キモチを若返らせる秘けつだと思いますから。
<DATA>
タイトル:『オーランドー』
出版社:筑摩書房
著者:ヴァージニア・ウルフ
価格:798円(税込)