火曜日は少女時代を思い出して若返る桜庭一樹『青年のための読書クラブ』
東京・山の手の伝統あるお嬢様学校を舞台にした、アヴァンギャルドな文学少女小説。 |
『青年のための読書クラブ』は、名門お嬢様学校を舞台に、変わり者が集う「読書クラブ」の周辺で起こる騒動を描く学園モノ。例えば、ものすごく頭が切れるけれども容貌にコンプレックスがあるアザミが、貧乏な育ちで学園では浮いた存在の紅子を王子(女の子です)にしようと画策したり。読むと、“ああ、女子高生のときってこういうおバカなことに熱中したなあ”という記憶が鮮やかに甦るのです。
5章構成なのですが、海外の名作文学が各章のモチーフになっていて、本好きにはたまりません。かといって、全然難しくない。自意識過剰で傷つきやすい少女たちが飄々と青年のように語るというミスマッチ、脱力モノの珍事件の数々がなんともいえないユーモアを醸し出しています。
年齢を重ねたかつての「読書クラブ」の部員がある場所に集うラストシーンが最高!
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タイトル:『青年のための読書クラブ』
出版社:新潮社
著者:桜庭一樹
価格:1,470円(税込)
水曜日はエロティックな名作をどうぞ。