前月のベストセラーの中から1冊選び、あとづけでゴタクを並べてみるシリーズ。今回取り上げたのは、ついに100万部を突破した『女性の品格』。なぜこの本が売れたのか考えてみました。
※月間ベストセラーのデータはこちらを参照しました。

キャリアウーマンが「女性らしさ」を再評価坂東眞理子『女性の品格』

女性の品格
「礼状が書ける」「約束をきちんと守る」「贅肉をつけない」「得意料理をもつ」「恋をすぐに打ち明けない」など仕事からプライベートまで指南。
ベストセラーは、特に新書は、タイトルに引きがあるものが多い。『バカの壁』『国家の品格』など、とにかくおぼえやすくてインパクト大。本書も内容は昔からあるマナー本に近いが、「品格」という言葉でパッケージすることによって、脚光を浴びたのだろう。

全体的に、斬新な提言とか、画期的に生活を変える情報はないといっていい。例えば、何かあったらすぐにお礼状を出すとか、乱暴な言葉を使わないとか、姿勢を正しく保つとか。66の法則は、どこかで聞いたことがあるような常識ばかりなのだ。だからこそよかったのかもしれない。知っているものは、受け容れるのに抵抗が少ないからだ。

ひとつの法則に対して解説は2ページくらい。文章も丁寧でわかりやすいため、さらっと読める。ちなみにガイドが読了に要した時間は1時間だった。ストレスなしで読めることも、ベストセラーの条件だと思う。

しかも東大卒→官僚→教育者というキャリアを持つ著者が、敢えて「女性らしさ」を再評価する。そこも受けた。親が安心して娘に薦められるような感じ。さすがは女子大の学長さん、お客様への目配りもばっちりだ。「女性らしさ」を再評価するといっても、三砂ちづる『オニババ化する女たち』ほど挑戦的でもない。極論を言わない、というのも「品格」なのかも。それだけに読後の印象は薄いのだが。

「秘すれば花」という項目にこんな文章がある。

公的な場で自分のことを洗いざらい告白するのはやめましょう。

ここで著者は自分の経歴や失敗談などをあまり他人(特に仕事でつきあいのある人)に明かさないように薦めている。書いてはないけれど、官僚の世界は自分の弱点を見せると足をすくわれるんだろうなあ、と邪推してしまった。品格のない読者ですみません。

<DATA>
タイトル:『女性の品格』
出版社:PHP研究所
著者:坂東眞理子
価格:756円(税込)

【関連リンク】
今年を「女性の品格」元年に!…NBonline(日経ビジネス オンライン)に掲載された坂東眞理子氏のインタビュー。

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