名作オカルト映画が爆笑ファンタジーに!ニール・ゲイマン/テリー・プラチェット『グッド・オーメンズ』
ハルマゲドンを巡って天使と悪魔と悪魔の子、黙示録の騎士たち、予言者の子孫、そして魔女狩り軍が入り乱れて巻き起こす大騒動! |
物語の狂言回しになるのは、悪魔クロウリーと天使アジラフェール。彼らは天使と悪魔、両方の陣営から人間界に派遣されている。しかし人類を見守って数千年。すっかり人間界の暮らしにも馴染んで愛着もわいてきたし、敵対陣営とも仲良くなってしまった。それぞれの上司(?)に「そろそろ人類滅亡させなきゃね」みたいなことを言われても気乗りはしない。でも命令だし仕方ないなあという感じで、クロウリーはハルマゲドン(最終戦争)のトリガーになる悪魔の子とアメリカの外交官の息子ウォーラックをすり替える。
それから11年後の8月、ウォーラックの誕生日。クロウリーとアジラフェールはパーティにもぐりこむが、11歳の誕生日に悪魔の子に仕えるためにやってくるはずの地獄の番犬があらわれない! 実は産院の手違いで、悪魔の子はイギリスの片田舎にある一般家庭の子になってしまったのだ。そこから天使と悪魔、悪魔の子、黙示録の騎士たち、予言者の子孫と魔女狩り軍が入り乱れての大騒動が始まる。
本書はとにかくコネタが楽しい。クロウリーが働く悪事がロンドンの中心部ですべてのケータイを45分間不通にすることだったり、地獄の番犬にトンデモなくゆるい名前がつけられたり、悪魔の子がオカルト雑誌に影響されてヘンテコな奇跡を起こしまくったり。爆笑しながら上下巻を一気読みしてしまう。
ちなみに著者のひとり、ニール・ゲイマンはアメコミ『サンドマン』の原作者にして、世界幻想文学大賞他数々の文学賞を総なめにした作家。要注目だ。
■一気読み度 ★★★★★
■お笑い度 ★★★★☆
■ストレス解消度 ★★★☆☆
<DATA>
タイトル:『グッド・オーメンズ』
出版社:角川書店
著者:ニール・ゲイマン/テリー・プラチェット
価格:上下巻各1,890円(税込)
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