■「十代の自分」と共に生きざるを得ない女性の愚かさ、残酷さを何の斟酌もせずに描く。だからこそ・・・
そう、そうなんもんなんじゃないかなぁ。ある部分で、人は、(特に女性は)変わらないし、成長しないものなんじゃないかと、私は、この作品を本で改めてそう思った。
そのことは、とても、残酷だし、多分、愚かしくもある。
本作で、登場人物たちの心のうちに住んでいる「十代の頃の自分」は、時に現在の自分を傷つけるし、他人も傷つけるのだから。
著者の筆は、その残酷さや愚かしさに対して、何の斟酌もしない。とことんまで描ききる。
だからこそ、それでも、それぞれの新たな地平を見つめて生きていこうとする彼女たちの強さが際立つのだ。
それはさておき、登場人物たちの高校時代の描写は、読むのが苦しくなるほどだった。気がついている人とそうでない人はいたけれど、すでに愚かなほど、みんな「女」で、それゆえに、その間に流れたなんともいえない緊迫は、やはり女子高育ちの私にとって、あまりにリアルだったもので・・・。
多分、多くの女性の方が、この作品を読むと、それぞれに、「あ、この感じ、いやになるほどわかる」だと感じる箇所があるのではないだろうか。
その分、男性は、ちょっと読むのが怖いかも・・・
この本を買いたい!
◆女性という性を実感するなら、やはり、このジャンル。情報チェックは「恋愛・純文学を読む」で
■小説家としても、評価が定まりつつある大石静さんですが、ご自身のことや、実際のできごとを語っても、軽妙にして、凄みあり。そんな彼女を感じられるページをピックアップ。
公式サイト「静の海」では、脚本を含め、著作がチェックできます。
ウェブプログ「シズカのフロク」では、世間の出来事にも独特の視点で切り込み、十二分に読み応えあり!
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