■「罰」以外の要因で、罪を犯した人間の「更正」しうるのかーー重いテーマに真正面から挑む
罪を犯した人間は、たとえば、社会的な罰とは異なる要因で、果たして、更正しえるのか。更正する、というのは、どういうことなのか。
著者は、主人公・桧山の心情に寄り添いながら、この疑問を徹底的につきつめていく。
この問いかけのために、「罰」を免れえる少年たちが登場する。
自らの犯した罪と真正面に向き合うことも回避しえる立場にいる彼ら。彼らにとって、「更正」の契機となるのは、いかなる事象なのか。さらに、少年たちは、いつまでも、少年ではない、という歴然たる事実が、この問いかけをより重いものにしているのだ。
本作で扱われている少年犯罪というモティーフは、きわめて今日的である。だが、この今日的なモティーフの向こうに、きわめて普遍的なテーマが横たわってい。
新人だと思えない老練な構成に驚かされ、重いテーマに真正面から取り組む野心にさらに、驚かされる。名門新人賞にふさわしい一作。ぜひ、ご一読を。
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