■人が人を殺すとは?罪と罰の間に横たわるものとは?赦しがあるとすれば、与えるのは?普遍的な命題に、物語作家として挑戦する
人が人を殺すということは、どういうことか、という命題である。本作で、著者は、殺人の理由や背景のみの説明にページを費やさない。むしろ、「殺人」という罪の本質に物語り作家として迫ろうとしている。罪と罰の間に横たわるものは、何なのか、罪が赦されるとしたら、赦すのは、誰なのだろうか。
明確な答えは、本作の中で提示されない。だが、答えを求めるという思考の彷徨が、重要な骨格として物語を支えている。そして、ラスト近く、主人公の殺人の実相が明らかになった時の白兎の「罪は罪だ」という言葉が、読む者を深く考えこませずにはいられない。
『バッテリー』もそうだが、本作も、著者の描写力は、やはり、手練れのそれである。言葉のひとつひとつが、選びぬかれ、研がれており、心地よい緊迫感をもって読み進めることができる。こんな書き手を、十代だけが独占していたなんて・・・と瞠目させられる一作である。
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児童文学者としても高い評価を受けている著者。子どもの本を子どもだけに独占させておくのって、けっこう、もったいないことかも。だから、「子どもと一緒に本を楽しむ」で情報チェック!
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『バッテリー応援団』には、あさのあつこさんのインタビューが。
人物ランキングなど交流ページが楽しい『バッテリー同盟』には、WEBドラマなども。
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