今回紹介する作品は、そんな生易しい上映時間ではなく、会社の就業時間でも追いつかない長い長い長い名作映画選です。これらの映画は、年末年始のぽっかり空いた1日にコタツ(床暖房?)に入って、数の子(キャビア?)をつまみ、日本酒の一升瓶(ワインのフルボトル?)を片手に、モニターの映像を追ってゆく。それが正しい?長尺映画の鑑賞方かもしれません。
それでは「超長尺映画」4タイトルを紹介します。
ソ連&アメリカが創った『戦争と平和』
両方観ると10時間半!
ソ連映画で初のアカデミー賞外国語映画賞を受賞した『戦争と平和』 |
帝政ロシアを舞台に、ナポレオンの侵攻による戦闘中の動乱の中、ロシアの人々の運命を叙事詩的に描いた、文豪トルストイ原作の映画化です。
製作に4年を費やし、出演者総数50万人以上。そして上映7時間。冷戦時代のソ連だからこそ成し得た芸術大作です。ナポレオン軍との20万人規模の人海作戦の戦場場面は圧巻です。
【作品情報】
・1966年~1967年/ソ連映画
・上映時間:424min
・監督:セルゲイ・ボンダルチュク
・出演:リュドミラ・サベーリエワ、セルゲイ・ボンダルチュク、ヴァチェスラフ・チーホノフ、ヴィクトル・スタニツィン、オレーグ・タバコフ
キャストが魅力の『戦争と平和』アメリカ版 |
今回の記事のテーマ、超長尺映画としては物足りませんが『戦争と平和』つながりでアメリカ版にも触れておきます。ソ連版を観てからこちらを観るとダイジェストのように感じられるかもしれませんが、それでも上映時間は3時間半あります。貴族の娘ナターシャを演じた若きオードリー・ヘップバーンの魅力的な熱演が光り輝く、ファンには必見の一篇です。
【作品情報】
・1956年/アメリカ=イタリア映画
・上映時間:208min
・監督:キング・ビダー
・出演:オードリー・ヘップバーン、ヘンリー・フォンダ、メル・フェラー 、ヴィットリオ・ガスマン、ジョン・ミルズ
「ホロコースト」生存者への衝撃のインタビュー
『ショア』
超長編ドキュメンタリー映画『ショア』 |
本作の監督は、哲学者サルトルの弟子と言われ、フランスの雑誌「現代」の編集長でもあるクロード・ランズマンです。ランズマン監督は1974年から11年の歳月をかけてナチスの強制収容所(アウシュヴィッツなど)に収監されていたユダヤ人の生存者や元ナチス親衛隊員(SS)へのインタビューを敢行。また歴史学者やインタヴュアーであるランズマン自身が随所にコメントを挿入した9時間半にも及ぶ、20世紀の“負の遺産”をみせるドキュメンタリー映画です。視覚メディアの映画で、言語(インタビュー)主体で綴る本作の証言の真偽を咀嚼する作業も伴いますので、じっくりとご覧下さい。
【作品情報】
・1985年/フランス映画
・上映時間:570min
・監督:クロード・ランズマン
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