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NHKの朝ドラ「ちりとてちん」の魅力を検証(2ページ目)

落語界を舞台とした話題性だけでなく、ドラマとしても質の高かった「ちりとてちん」。番組が終了してもなお、ファンが増え続ける、その魅力を検証します。

執筆者:清水 篤司

魅力的な脇役達

5分で落語のよみきかせ
繁昌亭らいぶシリーズ3桂吉弥「ちりとてちん」「くっしゃみ講釈」上方落語ファンには評価が高かった桂吉弥はこのドラマで一躍、全国区の噺家に躍進
そして、このドラマの特別なところが、主人公を凌駕するほど個性的で魅力的な脇役達です。良質なドラマや映画の共通点の一つが、どれだけ魅力的な脇役が存在するかです。

その点ではこのドラマは、その宝庫ではないでしょうか? まずは、主人公、喜代美(貫地谷しほり)の母である糸子(和久井映見)の優しさと天然的な可愛さは最高でしたね。たぶん、和久井映見にとってこの役は、自身を代表するものとなるはずです。

その中でも一番、光を放っていたのが、徒然亭一門の面々だと思います。徒然亭草若(渡瀬恒彦)、徒然亭草々(青木崇高)、徒然亭草原(桂吉弥)、徒然亭小草若(茂山宗彦)、徒然亭四草(加藤虎ノ介)、彼らを一人一人を主人公にして、落語のドラマを見てみたいと思っている視聴者も多いことでしょう。

その念が通じたのか、「徒然亭」の兄弟子たちを主人公に『ちりとてちん外伝』ドラマを制作することになったようです。いわゆる「スピンオフドラマ」です。主人公のその後ではなく、脇役達を主人公にしたドラマを制作するなんて、NHKの朝ドラで、そんなことはあったでしょうか? このドラマの人気の凄さを痛感します。

落語から堅苦しさを取ったドラマ

5分で落語のよみきかせ
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このドラマの一番の魅力は何より落語という芸能を大事に、取り扱ってくれたことと、落語は大衆のものだということを改めて認識させてくたことです。

落語は日本を代表する古典芸能でありますが、その前に落語は誰でも気軽にすぐに楽しめることができる大衆芸能です。堅苦しさは微塵もありません。老若男女、いつでも、どこでも楽しめるこれが落語の醍醐味です。

確かに名人上手の落語家達の落語を聞き比べるのも楽しいですし、日本の伝統芸能として伝えていくことも大事でしょう。でも、落語はその時代、その時代に大衆の娯楽として残ってきたものです。

本来、私のような落語マニアやあーだこーだいう芸能ではないし。大きなホールで大ネタと呼ばれる、落語の演目を一心不乱に凝視するのではなく、仕事帰りに寄席に寄ったり、近くの飲食店で開催される小さな落語会に立ち寄って気軽に聞くのが落語本来の魅力かもしれません。

この「ちりとてちん」は家族をテーマにしたドラマによって、古典芸能という堅苦しさを取り去り落語本来の楽しみ方を教えてくれたのではないでしょうか?


【関連リンク】
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