お正月興行は寄席にとって、一番の稼ぎ時であり、その年の指針を占う大切な月でもあります。 |
初席は顔見世興行(芸人50人が一気に見れる)
寄席は通常、昼の部(12:00頃-16:30)と夜の部(17:00-21:00)の2部構成ですが、元旦から10日までの初席は芸人の顔見世興行ゆえ、多くの芸人が入れ替わり立ち代り短い時間で出演します。よって、通常の2部構成では時間が足りないのでほとんどの寄席が3部構成(1部:11:00-14:00、2部:14:30-17:30、3部18:00-21:00)となっております。
各部には20人くらいの芸人が出演しますので、朝の1部~夜の3部まで寄席にいれば一日で50人~60人くらいの芸人が一気に見れます。
一組の芸人の持ち時間は5分(前の人が長ければ数十秒)と短く物足りない気もしますが、こんなに多くの芸人を一気に見る機会は初席だけなので、お気に入りの芸人を見つけるチャンスでもあります。
それと、高座の様子もいつもとは打って変わって賑やか(鏡餅、お飾り、門松等が飾られている)でおめでたい雰囲気を盛り上げてくれます。この高座の様子を眺めるだけでもお正月気分が十分、味わえます。
また、噺家達もおめでたい日に水を注すような毒々しい落語は演じず、短いお正月らしい噺や小噺でおめでたい気分を一層、盛り上げてくれます。
上記のように初席は一種独特の華やかさがあり、数多くの芸人がみれる興行ゆえ、正月の三が日までは一日中満席で、早くから並ばなければ、ほぼ立ち見です。
二之席の面白さは6割バッター(名人上手、落語界の大御所のみが主任をトリます)
11~20日の二之席(にのせき)になると世間はすっかりお正月気分が抜けてますが、寄席の方はまだまだお正月気分たっぷりです。通常の昼、夜の2部構成に戻るのですが、実はこの二之席(にのせき)こそが一年の最初を飾るに相応しい寄席のプログラムかもしれません。各寄席の出演者と特に主任(トリ)のメンツをご覧にいただければお分かりになると思います。
上野鈴本演芸場
昼の部:鈴々舎馬風(現・落語協会会長)・林家木久蔵(笑点でおなじみ)
夜の部:三遊亭金馬(落語協会専務理事)
浅草演芸ホール
昼の部:桂歌丸(現・落語芸術協会会長)
夜の部:桂米丸(落語芸術協会最高顧問)
新宿末広亭
昼の部:三遊亭円歌(前・落語協会会長)
夜の部:柳家小三治(噺だけでなく、マクラを聴くだけで価値がある噺家)
池袋演芸場
昼の部:柳家小三治(現在、名人と呼んでいい唯一の噺家)
夜の部:橘家円蔵(志ん朝、談志、円楽と並ぶかつての四天王の一人)
これほど豪華なメンツが各寄席で一同に主任を取る月は二之席だけです。また、主任だけではなく、他の出演者も選りすぐりの噺家達ばかりです。詳しいプログラムは下記の各寄席のホームページ内の番組表をご覧ください。
「寄席は3割」なんて言葉があります。「寄席に10回行って3回面白ければよしとし」「その日に10人芸人出演すれば面白いのは3人だけ」との意味ですが、この二之席の期間ならどの日の、どの時間の、どの寄席に行っても十分満足できます(軽く6割超えます)。ぜひ、二之席に出かけてお正月気分と共に名人達の至極の芸を味わってください。
【関連リンク】
新宿末広亭 番組案内
浅草演芸ホール 番組表
池袋演芸場 番組予告