普段聴く落語のほとんどが古典落語

古典落語の世界をイラスト付きで分かりやすく紹介してくれる「競作かわら版 落語と江戸風俗 」
落語には大きく分けて2つの種類があります。江戸時代から明治.大正.昭和(初期)時代に作られた古典落語と、それよりも新しい時代に作られた新作落語と呼ばれるものです。みなさんが普段、寄席や落語会などで聴く落語の多くが古典落語です。

では古典落語とはどういった噺の種類をさすのでしょうか? 大雑把に言えば、時代背景が古く、聴いていて懐かしく感じるものを古典落語と思ってもらっていいでしょう(新作落語でも時代背景が古い噺もありますが)。

わかりやすく音楽の種類で比較すれば古典落語がクラシック、新作落語が現代音楽(ロック、ポップ、などのニューミュージックと呼ばれるもの)といったところでしょう。

つまり、ストーリーが確立された普遍的な落語で、版権等はなく、誰もが自由に演じることができる噺のことです。クラシック音楽と違うところは落語の伝承方法が口伝のため作者が未定のものが多いことです。

古典落語の成り立ち

現在の古典落語の原型は、戦国時代から江戸時代に作られたものといわれてます。そして、明治から大正時代に近代落語の祖である三遊亭円朝などの噺家を中心にさらにストーリー性を持たせたり、新しい噺を創作したりします。

その後、昭和初期までに多くの噺家達が客に聞きやすく受け入れやすいように工夫を凝らし演出が確立したものが現代の古典落語と呼ばれるようになりました。

実は正式に「これらが古典落語だ」ということを分類する公的な文献や書物等はありません。昭和初期頃に作られた落語には古典とするか? 新作とするか? 意見が分かれる落語の演目もありますし。どうやら、落語世界の一般的常識として上記のように分類しているだけのようです。ここら辺の曖昧なところが落語の魅力の一つだと思います。

古典というと古めかしい印象を受けるでしょう。確かに噺の時代背景は古いかもしれませんが、古典落語は庶民を中心とした情、愛、義、欲、などの業を集約した人間の本質をテーマとする物語です。たとえ時代が移り変わっても人間の本質は変わらないことを考えれば、現代でも十分通用する物語だと私は考えます。

古典落語は口伝で伝承される

落語は師匠から直接、弟子に口伝する伝承芸ですので、古典落語には定められた台本はありません。速記本と呼ばれるものもありますが、特定の噺家がその時、演じたものを書き取っただけのものなので公式な台本ではありません。ゆえに噺家達は台本なしに師匠からの稽古のみで落語の演目を覚え、自分で構成し、高座で演じているのです。

次ページでは古典落語の楽しみ方について紹介します。