落語/落語関連情報

「新作落語」ってなに?(2ページ目)

新作落語とは古典落語の対になるもので、その名のとおり戦後「新しく作られた」落語の演目のことです。今回は古典落語とは違った魅力を持った新作落語についてたっぷり紹介いたします。

執筆者:清水 篤司

新作落語こそ落語の原点である

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新作落語の帝王である三遊亭円丈のCDを聴いて新作落語の魅力を存分に味わってください
落語の原型を遡ると(かなり遡ります)その昔、仏教を日本各地に広めるため、僧侶が各地域に出向き、難しい仏教の説法を庶民でも分かりやすいように笑いや当時の都の話題などをふんだんに盛り込んで話したものが原型とされる説があります。
それゆえ落語を演じる舞台を高座と呼んだりするなど、仏教の影響が随所に見られます。

現在のように情報網が発達していなかった当時は庶民にとって、この説法が唯一の最新のニュースを知る手段だったかもしれませんね。このことを考えれば新作落語こそ、落語本来のあり方かもしれません。

なぜなら、新作落語の多くが時事性にとんだ、今を切り取ったものであるからです。また、落語家のことを「口に新しい」と書いて噺家と呼びます。これを常に新しい情報を教えてくれる人と捉えれば、さらに納得していただけると思います。

新作落語の最大の魅力は、現実に起こっている「今」を笑いというフィルターを通して分かりやすく、風刺たっぷりに私達に伝えてくれることと私は考えます。

ガイドがオススメする新作落語家

●三遊亭円丈
現在の若手新作落語家たちは全て彼の影響を受けているといって過言ではありません。古典落語の名人だった六代目三遊亭円生の弟子でありながら多くの新作落語を作り演じ続けています。また落語本来の魅力である笑いに貪欲で、高座では常に新しい笑いを提供してくれます。

古典落語一辺倒の落語マニアには評価は低いようですが、数十年後には彼の評価を低く見ていたことをきっと後悔するでしょう。常に新作落語の第一線を走り続ける新作落語の帝王です(最近は古典落語にも着手)。

●桂三枝
第一線で活躍するタレントであり、一流の噺家であり、一級の新作落語の創作家です。とくに彼が作った「創作落語125撰」は落語界の宝です。現在、多くの噺家達が、この良質な「創作落語」の演目を演じはじめました。もしかしたら、将来この「創作落語」が古典落語のように語り継がれていくかもしれませんね。

最近では大阪に上方落語界の念願だった定席(常時落語をしている寄席)の天満天神繁昌亭をオープンさせました。

タレント活動ばかりが目立ちますが、このような功績を見て分かるとおり落後史に残る噺家の一人となるはずです。

●三遊亭白鳥
十年に一人の天才(奇才?)の新作落語家。この人の作り演じる落語は「奇想天外の爆笑落語」です。変に落語色に染まってないのがこの人の特徴であり、魅力です。古典とか新作とかを超えた「笑い」を純粋に追及した白鳥落語を、ぜひ一度味わってください。

●立川志らく
家元・立川談志の遺伝子を受け継ぎながら、シネマ落語という新たな落語のジャンルを確立した立川流の奇才。このシネマ落語とは映画の作品を落語で演じてしまうのです。

たとえば、「ゴッドファーザー」の舞台を江戸時代の侠客一家に設定し、縄張り争いや家族の苦悩を描き、人情噺に仕上げてしまう。この発想の凄さに脱帽です!落語の新たな広がりに挑戦し続ける噺家です。さらに彼は古典落語の名手でもあります。

【関連リンク】
三遊亭円丈の公式HPはこちら
桂三枝の公式HPはこちら
三遊亭白鳥の公式HPはこちら
立川志らくの公式HPはこちら
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