オズワルドの気持ちになれば、声は出てくる
今回の声優体験には、比嘉さんの3才のお子さんとの経験もプラスに作用したらしい。子どもは好きだが、子ども向けのあのやわらかい口調で話すのは、照れくさくて苦手という比嘉さん。お子さんに絵本を読んであげるとき、少しでも“照れ”が入っているとすぐ子どもに見破られ、話に集中してくれない。ところが感情を込めて真剣に読んであげると最後まで聞いてくれたことから、「絵本やアニメを見ているときの子どもは、本気でその世界に生きている。だから、そこに大人がオジャマするときに照れていたんでは失礼な話だし、きちんとそれなりの気構えで行かないとダメだ」と考えが変わったという。
さてそんな比嘉さんの考えるオズワルド像とは?
「全然、なにもない(笑)。というのも、『オズワルド』の原作者(ダン・ヤッカリーノ)だけに聞こえるオズワルドの声ってあると思うんですよね。だからオズワルドの絵を見て、オズワルドの気持ちになって、そこから感じ取れる声を自分の中から出すしかないなあと。だからあえてなにも考えずに本番に向かいましたね」
4つのエピソードの中から、オズワルドになりきった比嘉さんのお気に入りのシーンを教えてくれた。
「4話のゴーカート・レースの最後。つぎつぎと車が故障するヘンリー(ペンギン)、デイジー(お花の女の子)、それにフタゴ・タマゴを、オズワルドは自分の車に乗せるんだけど、最後バスター(カメ)を抜いちゃうんだよね。俺としては“バスターを抜くのか、抜くのか、抜いちゃった……、ゴメン”という気持ちがあったわけ(笑)。だから表彰式でバスターにもアイスクリームをあげたときは、“よかったあ~”って気持ちになりましたよ(笑)」